日本における宇宙科学用の大気球実験は2008年から北海道大樹町での運用が開始されたことで一つの節目を迎えた.大樹に新しく整備された実験施設により,従来よりも大型の実験を安全に実施できるようになった.また,日本独自の薄膜型高高度気球は,成層圏を越えて中間圏に達する手段としての実用運用を始まっており,新型のスーパープレッシャー気球も,最近の研究開発の進展によって実用化に近づいている.これらの結果,「より重い実験装置を・より高く・より長時間飛翔させる」次世代型の気球実験の実現がいよいよ視野に入ってきた.本稿では,大気球の歴史や概要について述べるとともに,最近の大気球実験の進展や今後の展望を紹介する.
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