Si(100)表面ではSi原子が2量体(ダイマー)を形成しており,室温では非対称ダイマーと呼ばれる二つの傾いた配位の間で激しくフリップフロップ運動するため(2×1)構造として観察されるが,温度が下がると200K辺りで運動が凍結しc(4×2)の周期を持つ秩序構造に2次の相転移を起こすことが知られている.しかし最近,更に温度を下げると,40K辺りの低温で再度,c(4×2)構造から,無秩序な(2×1)構造,対称な(2×1)構造,p(2×2)と呼ばれる構造等に相転移を起こすという実験結果が報告され,議論を呼んでいる.そこで,本稿ではこうした現象を統一的に見直すことを目的として,走査プローブ顕微鏡(SPM)による,10K~室温におけるSi(100)表面構造相転移の観察結果の詳細について紹介する.
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