電気的方法で測定可能なマイクロ波以下の周波数を基準に,光の周波数を直接測定する新しい技術が開発された.超短パルスモード同期レーザーを用いるこの方法は,従来の方法よりもはるかに簡便で実用性が高く,波長(長さ)標準の精度向上のほか,現在マイクロ波領域で設定されている周波数標準を光周波数で実現し精度を向上させる道を開く.その測定原理は,超短パルスモード同期レーザーから発せられる周期的光パルス列を周波数軸上で見た形が,正確にパルス繰り返し周波数ずつ離れた多数のモードの集合体,すなわち光周波数コムとなっていることを利用している.スペクトル幅が1オクターブ以上ある光周波数コムでは,その全体の周波数軸上の位置を容易に決定することができるので,各モードの周波数が決まる.そして,そのモード1本とビートをとるだけで,レーザーの周波数を測定することができる.1オクターブ光周波数コムはフォトニック結晶ファイバーの発明で容易に実現可能となった.本稿では筆者が実際に開発したシステムを参考に,この新しい光周波数計測技術の基礎に関して解説する.
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