液体や非品質固体は結晶とほぼ同じ密度を持つが, その中では原子の配置は不規則である. 気体と異なり, そのような系では原子の位置の乱れ方は全く勝手というわけには行かない. その構造は多くの場合原子を一つずつ積み重ねる形で調べられるが, この解説では結晶の格子欠陥の一種である転位の概念を利用して, その構造の特徴を明らかにする. 融解の現象は古くからなじみ深い最もありふれた相転移であるが, 液体をどのようにとらえるかが難しいため, 融解の直観的描像は確立していない. 転位の側からこの問題を見ることによって, 非調和性の役割, 乱れに伴うエントロピー, 融解特性の原子間ポテンシャル依存性を議論する.
抄録全体を表示