競合する強磁性相互作用と反強磁性相互作用とがランダムに分布したスピングラス系において, 比熱の異常を伴わない帯磁率のカスプに代表される相転移様現象が観測される. この転移の本質を巡って, エドワーズ・アンダーソン (Edwards-Anderson) 理論以来精力的な研究が続けられている. 最近になって, 転移が熱力学的な相転移であるとした場合の理論的基礎が確立された. スピングラスの平均場理論である. この理論のレプリカ法に基づく数理的構造と結果の物理的解釈を解説し, 実験結果との比較から, 今後の問題点を指摘したい.
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