強誘電体は一般に誘電的にソフトな物質であるが, これが圧電あるいは電気ひずみ効果を介して弾性的性質にも関連する. このような電気機械結合が強誘電性相転移におよぼす影響については, ロッシェル塩,
1)BaTiO
32)などの強誘電体草創時代から現象論の定石的手法が確立されている. 近年, 多くの結晶について相転移の機構が明らかにされ, 強弾性体, 間接形強誘電体などの新概念が生まれ, そして特定の転移パラメータの異常にその起因が求められるようになった. これに伴い, 従来の現象論は多少の修正を迫られている. この稿では, 広く"強誘電的"相転移における電気機械結合の役割を, 現象論的立場からまとめて解説した. ただし変位形の一軸性の場合に議論をしぼり, また超格子を生ずる反強誘電的場合も省いた. なお, 二, 三の著者の新試案を含めたので, 独断や思い違いについてご叱正を得られれば幸いである.
抄録全体を表示