逆問題の解法として良く知られているマキシマムエントロピー法を結晶構造因子から電子密度分布を求める問題に適用することにより,電子レベルでの結晶構造を求めることが可能となってきた.それにより,構造モデルを仮定する事なく結合電子の様子などをX線回折データより直接見ることが出来る.具体的には,この解説では,シリコンとルチルの結果が示されている.同様の方法で中性子回折データを処理することにより,熱振動による原子核の分布を直接知ることもでき,ルチルに対する結果を示した.マキシマムエントロピー法は最小自乗法とは対照的方法で,方法論の背景となっている基本的な考え方についても論じた.
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