統計的方法は, その用い方が大切であり, 「これを用いなければ解明できなかったことが解る」というような使い方が望ましい. このためには, 単に技術的なものだけではなく, 「統計」に潜む考え方を知ることが重要である. 著者の経験からみて, データによる現象解析を考える上で重要な意味を持つと考えられた問題がいくつか取り上げられている. 統計を応用しようとする分野で, 1) 当該分野の学問的遺産による方法の反省, 2) 統計的現象と見做せるものの新しい取扱い方の開発, という二面があると思われるが, いずれの場合でも大事な意味をもつ基礎が述べられてある.