東京都で稼働中の蓄熱プラントから採取した防錆剤を含まない空調機使用水と亜硝酸系防錆剤を含む空調機使用水下で, 残留カーボン皮膜有・無銅管を用い, 分極曲線, 自然電位の測定, および定電位保持試験の電気化学的実験を行った. 防錆剤を含まない空調機使用水下での分極曲線には不動態領域が現れないのに対して, 防錆剤を含む空調機使用水下での分極曲線には-950mVから120mV (Ag/AgCl) に不動態領域が現れた. 不動態保持電流密度値は残留カーボン皮膜有管の方がカーボン皮膜無管よりも大きかった. 200mVで168時間保持の定電位保持試験において, 防錆剤を含まない試験水下では168時間後の電流密度値が20μA/cm
2に対し, 防錆剤を含む試験水下では, 0μA/cm
2であった. 定電位保持試験終了後の試料表面は, 防錆剤を含まない方は酸化皮膜および緑青で覆われていた. 防錆剤を含む方は初期の金属光沢を維持していたが, 局所的に緑青が存在している箇所があった。 その下部では浅い孔食が発生していた.
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