Zairyo-to-Kankyo
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65 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
展望
解説
  • 市場 幹之
    2016 年 65 巻 12 号 p. 483-489
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    近年,電気事業の体制は大きな変貌を遂げつつある.米国の電気事業制度を模して戦後構築された垂直統合型の電力供給体制は,送電線の広域運用,小売全面自由化,発送電分離といった歴史的なパラダイムシフトを迎えている.この動きは電力流通設備の腐食防食課題へも影響し,設備の保全,寿命や損傷リスクに関する取り組みが重要となっている.本稿では電力流通設備で設備量の大きな電柱や屋外鋼構造設備の腐食防食課題を例に,PC 鋼材や塗料の性能評価試験への取り組みや学協会との連携について示す.

論文-材料と環境2016速報論文特集-
  • 境 昌宏, 木谷 光来, 入江 智芳, 八鍬 浩
    2016 年 65 巻 12 号 p. 494-497
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    純銅管の応力腐食割れを調べるために,市販のリン脱酸銅管から製作したC−リング試験片を用いてアンモニア雰囲気中で3週間の暴露試験を行った.C−リング試験片には,耐力を越える高応力と弾性域内の低応力を付加した.3,9%アンモニア水から生じた気相アンモニア中に試料を3週間暴露すると,高応力が付加された試料に応力腐食割れが発生した.一方,低応力付加の試料には粒界腐食のみが発生した.SCCが発生した試料のC−リング試験片の直径回復率は,SCCが発生しなかった試料の直径回復率に比べると小さくなった.

  • 松橋 亮, 野瀬 清美, 松岡 和己, 梶村 治彦
    2016 年 65 巻 12 号 p. 498-504
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    ステンレス鋼の耐すきま腐食性を評価する電気化学的方法の一つとして,JIS G 0592法に準拠した往復分極法がしばしば用いられている.同法におけるすきま腐食進展挙動についてはこれまで必ずしも明確にされているとは言いがたく,例えば,各分極操作(段階I~段階IV)時におけるすきま腐食進展挙動やJIS G 0592の電位操作で決定される臨界電位(E'R,CREV)より卑な電位での進展挙動など,これまで不明な点が多く残されていた.なお,試験後のすきま腐食深さが40μm以上の場合,E'R,CREVER,CREVとなり再不動態化電位と呼ばれる.

    本研究では,同法と連動した石英ガラス/金属すきまを有するSUS304およびSUS316Lステンレス鋼のすきま内In-situマクロ観察を実施した.その結果,(1)往復分極法においてすきま腐食の発生は動電位操作の段階Ⅰと定電流操作の段階Ⅱの前期でおこり,すきま口における腐食部分の深さ方向への進展は主として段階Ⅱの終点まで続く.(2)すきま腐食は段階Ⅲの動電位逆掃引と定電位ステップ操作の段階Ⅳにおいても面積的に進展する.さらに,すきま腐食はStage IVで決定されるE'R,CREV以下の電位でも面積的に進展することが確認できた.この面積的な進展が停止する電位以下の電位では,すきま腐食進展は実質上停止する.

  • 上田 健一郎
    2016 年 65 巻 12 号 p. 505-509
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    最近,ルームエアコン用室内機に用いられるリン脱酸銅管で蟻の巣状腐食が発生し,問題視されている.この対策の為,犠牲防食効果による亜鉛めっき処理銅管を開発した.100mg/Lのギ酸水溶液を腐食媒とした密閉容器内での気相暴露試験によりこの耐食性を評価した.また無酸素銅の腐食性も考察した.亜鉛めっき銅管では完全に蟻の巣状腐食が抑制されていた.無酸素銅は腐食孔内底部が腐食起点となりにくいため,深さ方向への侵食が緩慢になると考えられた.

  • 境 昌宏, 髙橋 裕喜
    2016 年 65 巻 12 号 p. 510-514
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    ギ酸溶液中での銅の腐食挙動に及ぼす溶存酸素の影響を調べるため,脱気および大気開放下で,0.002 mol/Lギ酸水溶液中にリン脱酸銅管を5日間浸漬した.大気開放下の試験水中に浸漬した銅管には亜酸化銅と思われる茶褐色皮膜が形成するのに対し,脱気下の試験水中に浸漬した試料表面の金属光沢は5日間維持される.銅を浸漬したギ酸溶液のpHは浸漬期間の増加とともに上昇するが,このpH上昇は溶液の脱気によって抑制される.脱気した溶液中の溶出銅原子濃度は浸漬時間とともに徐々に上昇し続けるのに対し,大気開放下の溶液中の銅原子濃度は急増した後,一定値で推移する.これは,溶出した銅が亜酸化銅皮膜として銅表面に再析出したためと思われる.大気開放下のギ酸水溶液に28,56,84日間浸漬した銅管には蟻の巣状腐食が発生した.以上より,溶存酸素は銅の蟻の巣状腐食に必要な因子の一つであることが判明した.

  • 平野 昭英, 中路 紘行
    2016 年 65 巻 12 号 p. 515-519
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2017/06/30
    ジャーナル フリー

    開放型蓄熱水系の空調用熱源機銅管に対する酸素低減処理の腐食抑制効果を明らかにするため,熱源機銅管の渦流探傷調査報告書の解析と熱源機運転期間中の冷水や温水の溶存酸素(DO)濃度の解析を行った.銅管肉厚の5%以上が減肉した場合を損傷銅管とし,渦流探傷調査を行った銅管数に対する損傷銅管数の割合を損傷率とした.その結果,DO濃度の減少に伴い銅管の損傷率は低減し,DO濃度1mg/L以下にすれば損傷率を1%以下にできることがわかった.

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