材料と環境
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61 巻, 12 号
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展望
総説
  • 宮坂 松甫
    2012 年61 巻12 号 p. 464-470
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル フリー
    海水ポンプには,ステンレス鋼,鋳鉄,ニレジスト鋳鉄,銅合金など多様な材料が使用され,時代によっても変化が見られる.海水は,塩化物をはじめとする塩類を多量に含むこと,これによって導電率が高い,などの理由から腐食性が高く,これを扱う機器・構造物の防食面での保守管理は重要な問題である.本報では,著者がこれまで取り組んできた海水ポンプの防食に関する研究開発について主だった内容,異種金属接触腐食,流速差腐食,ニレジスト鋳鉄のSCC,ステンレス鋼のすきま腐食,2相ステンレス鋼製製缶ポンプの開発などについて述べる.
論文
  • 貝沼 重信, 山本 悠哉, 伊藤 義浩, 林 秀幸, 押川 渡
    2012 年61 巻12 号 p. 483-494
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル フリー
    鋼構造物の腐食環境は,その部位レベルで著しく異なる場合が少なくない.したがって,鋼構造物を経済的に維持管理するためには,各部位レベルの腐食環境を適切に評価した上で,腐食損傷の進行性を予測する必要がある.本研究では塗装鋼構造物の部位レベルの腐食性を対象部位に設置した無塗装普通鋼板の平均腐食深さを用いて総合評価する手法に着目した.そのために,腐食環境が著しく異なる4地点で無塗装普通鋼板の大気暴露試験を実施した.この暴露試験結果に基づき,対象部位に設置した無塗装普通鋼板の腐食生成物層の厚さから,腐食生成物を除去することなく,平均腐食深さを推定する実用性の高い手法を提案した.また,その環境における鋼部材の塗膜劣化後における腐食深さの経時性を評価する手法を提案した.
  • 竹ノ内 敏一
    2012 年61 巻12 号 p. 495-502
    発行日: 2012/12/15
    公開日: 2013/05/31
    ジャーナル フリー
    塩化ナトリウムあるいは硫酸ナトリウムを電解質に用いて電解したアノード水(NaCl酸性電解水,Na2SO4酸性電解水)では,ともに高い酸化還元電位と溶存酸素濃度を示し,前者では遊離塩素も生成する.本研究では,これら酸性電解水の物性値を測定し,酸性電解水とpH(=2.48)が同じ塩酸,硫酸に鉄を浸漬し,その腐食挙動を比較した.腐食挙動については,鉄の腐食速度を求め,浸漬した鉄の外観観察,表面分析を行い,遊離塩素,硫酸イオン,溶存酸素の影響について考察を行った.その結果,NaCl酸性電解水に浸漬した鉄の腐食速度は,同じpHの塩酸でのそれに比べて3.5倍大きく,Na2SO4酸性電解水においては3.4倍大きいことが示された.NaCl酸性電解水では,遊離塩素は鉄の腐食速度を高め,鉄の表面の粗化を促進することがわかった.Na2SO4酸性電解水においては,溶存酸素は鉄を腐食する要因であるが,溶存酸素以外にも鉄の腐食を促進する要因があると推測された.さらに,大気中で熱酸化皮膜を形成した鉄をNaCl,あるいはNa2SO4酸性電解水に浸漬すると,熱酸化皮膜は下地鉄とともに溶解され,その表面は,塩酸を用いて処理された場合のそれと同様に,自然酸化皮膜を有する鉄表面と同じであった.酸性電解水は従来用いられてきた塩酸や硫酸に替わり,鉄のエッチングや前処理に利用できる可能性が示唆された.
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