防錆油は,金属部品製造時の保管や輸送時のような限られた期間の比較的短期間の一時的防錆を目的として使用される防錆手段の1つである.近年,防錆油が関わる分野においても,「モノ」が手に入って当たり前,部品がさびなくて当たり前のこれまでの常識が必ずしも通用しなくなってきており,防錆防食技術の重要性,さらには防錆油の存在,有用性が見直されてきていると感じる.
そこで本報では,防錆油について,その種類,使用される基材,作用機構,要求性能と使用上の注意点,近年の動向,今後の展望について述べる.
溶液中の溶存線源がSUS 316Lステンレス鋼の腐食に及ぼす影響を解析するために,溶存90Sr及び溶存137Csが腐食電位に及ぼす影響を調査した.HCl水溶液中で腐食電位を測定しながら,放射能の等しい90Sr標準溶液及び137Cs標準溶液をHCl水溶液に滴下した.その結果,90Sr標準溶液滴下溶液中では137Cs標準溶液滴下溶液中よりも大きな電位上昇が生じた.計算によって検証した結果,水の放射線分解によって生じるH2O2量の違いが両溶液中での電位変化に違いをもたらすという結果が得られた.
日本の木造建築の保存修理等に用いる和釘について,可能な限り往時の技術を継承して作製することを目的とした.そのため,たたら製鉄が成熟期を迎える安土桃山時代から江戸時代の和釘の技術的な特徴を化学成分,皮膜構造,耐食性の観点から調査した.その特徴を活かした鉄母材を作製し,鍛冶職人の手作業による熱間鍛造により作製した和釘について,鉄汚染性,長期耐食性を電気化学測定及び腐食促進試験により評価した.