中性溶液環境における炭素鋼腐食のpH依存性について詳細に解析するために,炭酸ガス吹き込みによって一定のpHに保った0.01 M HCO
3溶液中における炭素鋼腐食上の腐食皮膜形成反応を解析した.全腐食量に対する表面沈殿皮膜生成量の比率である沈殿比は,pH=3.5~10の領域で,pHの増大とともに増加し,全腐食量は減少することが見いだされた.
CuやNiの少量の合金元素添加は沈殿比に影響を与える.皮膜生成反応は沈殿が,Fe(OH)
2, Fe(OH)
3,FeCO
3などの溶解度積によって決定されるとして説明される.腐食速度は皮膜中の酸素拡散によって律速され放物線則に従う.
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