Zairyo-to-Kankyo
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54 巻, 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 石川 達雄
    2005 年 54 巻 8 号 p. 361-367
    発行日: 2005/08/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    人工合成鋼材さびと耐候性鋼材さびの構造を分子吸着法で調べた. 種々の人工さびをCu(II), Ni(II), Cr(III) およびTi(IV) を含む鉄塩水溶液から合成した. 耐候性鋼材さびは, 種々の耐候性鋼をいろいろな環境下で17年間暴露して得られた. これらのさび粒子の大きさを反映する比表面積を, 窒素吸着等温線よりBET法によって求めた. 人工さびの粒子径は金属イオン添加によって減少し, その程度は金属イオンの種類に依存した. 鋼材さびの粒子径は暴露環境に大きく依存し, 鋼種にはあまり依存しなかった. 鋼種に関係なく, 飛来塩分はさび粒子を大きくし, 腐食量の増加とともにさび粒子が大きくなった. 気体分子吸着法が, 鋼材さびの評価に使えることが分かった.
  • 野田 和彦, 片山 英樹, 升田 博之, 小野 孝也, 田原 晃
    2005 年 54 巻 8 号 p. 368-374
    発行日: 2005/08/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    材料の実用に際し, 大気腐食は身近にして多くの課題を有する問題であるが, 一般的な電気化学測定による評価が困難であるため, 大気腐食評価法に関して多くの取り組み, 試行がなされている。ここでは, 大気腐食性評価におけるモニタリング技術と表面観察法を中心とした大気腐食評価法を紹介した。モニタリングにおいては, 大気暴露試験, ACMセンサ, 交流インピーダンス法, QCMについて解説し, その有効性と適用範囲を整理した。鉄鋼材料の大気腐食性評価に用いたさび膜のイオン透過抵抗測定およびイオン選択透過性評価について, 試料作製から解析の一部を紹介し, 腐食生成物の物性評価の重要性を説明した。さらに, 表面観察法としてケルビン法や原子間力顕微鏡を用いた表面電位測定, 表面pH分布測定の有効性を解説することで, 表面可視化技術の発展と大気腐食性評価への適用の期待を示した。
  • 篠原 正, 元田 慎一, 押川 渡
    2005 年 54 巻 8 号 p. 375-382
    発行日: 2005/08/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    Fe/Ag-対からなる ACM (Atmospheric Corrosion Monitor) 型腐食センサが開発され, 大気環境の腐食性評価に適用された. 本センサは, 大量生産と再現性を考慮し, 長期のデータ収集に便利なように設計されている. センサ出力Iのほかに温度と相対湿度RHもマイクロコンピュータによって記録された. Iの大きさと経時変化を解析することによって, 降雨, 結露および乾燥期間 (それぞれTrain, Tdew, Tdry,) を分類し, その経過時間を決定できた. また, 予め求めておいたI-RH校正曲線を用いて, 海塩付着量Wsを見積もることができた. センサ出力を解析することにより, 屋内環境での腐食量を見積もることができることもわかった. ACMセンサを用いていくつかのサイトにおける環境の腐食性を評価した. また, 本センサが炭素鋼についてだけでなく, ステンレス鋼に対しての環境腐食性評価に適用できることも示した.
  • 橋梁鋼製箱桁内部環境の腐食性評価
    廖 金孫, 松井 繁憲, 串田 守可, 篠原 正, 藤野 陽三
    2005 年 54 巻 8 号 p. 383-390
    発行日: 2005/08/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    準密閉環境での鋼材の腐食挙動を把握するため, 本研究では, 実橋および実験用鋼製箱桁内部にACM型腐食センサ, 温度・湿度センサおよび一般構造用炭素鋼暴露試験片を設置し, 箱桁内部のような, 飛来不純物のほとんどない準密閉環境の腐食性を評価した.
    箱桁内部の相対湿度は箱桁外部より低いが, 場合により100%になることがある. また, 箱桁端部では不純物付着の可能性があるが, 一般部では飛来不純物の侵入はほとんどない. 箱桁内部では, 表面に不純物付着のない鋼材の腐食速度は極めて小さい. 供用あるいは暴露前に付着した不純物は, 初期段階で鋼材の腐食を促進させるが, 時間の経過に伴い, その影響は軽微となる. これらの実験結果より, 箱桁内部のような準密閉環境における鋼材の腐食要因が明らかになった.
  • 細矢 雄司, 篠原 正, 押川 渡, 元田 慎一
    2005 年 54 巻 8 号 p. 391-395
    発行日: 2005/08/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    炭素鋼の大気腐食における環境の腐食性について, 付着海塩が吸水することによって表面に形成される水膜の厚さの影響を中心に検討した.
    付着海塩への吸着水量を種々の条件下で実測し, 形成された液膜の濃度を計算値と比較して熱力学計算が実験結果をよく再現する条件を得た. また種々の条件下で炭素鋼の腐食試験を行い, 熱力学計算で導出される水膜の厚さdと腐食速度CRとの関係について調べた. d=50μm近傍においてCRは最大値約0.07mgm-2s-1を取ることを見い出した.
  • 篠崎 聡, 半田 隆夫, 渡辺 正満, 朝倉 薫, 豊田 悦子, 市野 敏弘, 桑木 伸夫
    2005 年 54 巻 8 号 p. 396-398
    発行日: 2005/08/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレート (PET) 共重合体 (コポリマー) に替えて, PETホモポリマーを使った亜鉛めっき鋼板への粉体塗装の検討を行った. PETホモポリマーは剛直分子構造を持つため, 成膜時の内部応力の影響が懸念されたが, 300μm程度のピンホールフリーの良好な厚膜が形成され, 基板への密着力も優れていた. PETコポリマーと同様に, 塗膜による水・塩分などの腐食要因に対する遮蔽と, 亜鉛の犠牲防食の二重防食効果により, 塩水噴霧試験 (6000h) と屋外暴露試験 (5年間; 東京都三宅島) に対して優れた防食特性を示した. 汎用ポリマーであるPETホモポリマーを導入することにより, 原料コストが下がるだけでなく, リサイクルPET使用も可能になり, 環境面でのメリットも期待できる.
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