オープンループ電位顕微鏡(OL-EPM)は液中での金属材料表面の電位分布計測を可能とする評価手法である一方,大気中電位との相関性については明らかになっていない.そこで,アルミニウム合金表面を大気環境においてケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)で観察し,さらに同一箇所を液中でOL-EPMによりその場観察することで大気中での電位分布と液中での電位分布の比較を行った.OL-EPMにより得られた液中電位分布は純水中ではKFMと同様の傾向を示すが,腐食性環境では局部腐食電池反応に対応した電位分布が可視化され,大気中での電位分布と異なることが明らかになった.
積雪環境下における鋼材の埋雪深さが腐食挙動に与える影響を評価した.地面(建屋屋上の床面)からの高さに由来した熱による融雪状況の違いが鋼材表面での水膜とさびの生成に影響を与えた.100 mmは800 mmよりもさびの形成と水膜維持によるFe2+イオンの溶出が多く生じるため腐食量が多くなった.試験面の向きも水膜維持に影響を与え,上向きでは水膜が試験面全面に広がりさびが生成するが,下向きでは雪と接した部分にのみさびが生成し,腐食量も少なくなった.