Zairyo-to-Kankyo
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56 巻, 10 号
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展望
解説
論文
  • 藤井 和美, 大橋 健也, 橋本 忠彦
    2007 年 56 巻 10 号 p. 458-463
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    マルチチャンネル水晶振動子微量天秤センサにより,多種金属の腐食速度を同時モニタリングするとともに,測定結果に基づく腐食性ガス濃度の逆推定方法を検討した.Ag,Co,Cuの腐食速度を相対湿度,SO2,NO2,H2Sの関数と見なして,腐食速度と環境因子との関係を定式化でき,この近似式に基づき,腐食性ガス濃度を逆推定できることがわかった.腐食速度の環境因子依存性は,腐食生成物の種類や存在比率の影響によるものと考えられる.
  • 橘高 敏晴, 西畑 三鶴, 関 茂和, 海瀬 忍, 田名瀬 寛之, 仲子 武文, 松原 茂雄
    2007 年 56 巻 10 号 p. 464-471
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    鋼管膨張型ロックボルトは湧水のある地山や掘削による初期変位のあるトンネル工事で使用される。湧水中での耐久性を評価するために,溶融Zn-6%Al-3%Mg合金めっき製ボルトおよびめっきなしボルトを東海北陸自動車道飛騨トンネルの湧水地山に試験設置した。1,2,3年経過後にオーバーコアリング法によりボルトを地山から回収し,腐食挙動を調査した。めっきなしボルトの場合,腐食(板厚減少)速度は直線近似でき,溶存酸素拡散支配型の腐食と判断された。一方,合金めっき製ボルトの場合,灰色外観を呈しほとんど腐食の認められない領域とめっき層が局部的に腐食した黒変色領域とが混在していたが,黒変色領域における腐食の進行も2年経過以降はほぼ停止していると見なされた。3年経過後の灰色領域,黒変色領域および溶射補修した溶接部のいずれの部位も最表層はZn-Si-O系の均一な皮膜で覆われており,試験設置場所で採取した湧水の分析結果などからケイ酸亜鉛皮膜と推定された。このケイ酸亜鉛皮膜の腐食抑制効果により,それ以上の腐食の進行がほぼ停止した状態になっていると考えられる。
  • 鷲頭 直樹, 篠原 正, 元田 慎一, 酒井 潤一
    2007 年 56 巻 10 号 p. 472-479
    発行日: 2007/10/15
    公開日: 2008/03/25
    ジャーナル フリー
    微生物が関与する腐食速度の上昇機構を解明する目的で,海水に暴露したType 329J4Lステンレス鋼に対するカソード電流の測定ならびにバイオフィルムの生物学的解析を行った.自然海水中で試験片をあらかじめ0.1 V vs. SHEに保持した後に,0.1 V vs. SHEで測定したカソード電流密度は0.3~3μA/cm2で推移した.一方,自然浸漬条件下で自然海水に暴露した後の0.1 V vs. SHEにおけるカソード電流密度は,測定の初期段階では1μA/cm2以上であったが,12 h以内に0.1μA/cm2以下の値にまで低下した.0.2 V vs. SHEでの自然海水への前処理暴露後に0.2 V vs. SHEで測定したカソード電流密度は,測定の初期段階および最終段階のいずれにおいても約2μA/cm2であった.自然浸漬条件下で自然海水へ前処理暴露後,0.2 V vs. SHEで測定したカソード電流密度は,測定の初期段階においては1μA/cm2以上,測定最終段階では0.1μA/cm2以下であった.0.3 V vs. SHEで測定を行った場合のカソード電流密度の平均値は,0.3 V vs. SHEでの自然海水への前処理暴露後においては約0.2μA/cm2,自然浸漬状態での自然海水への前処理暴露後においては0.01μA/cm2以下であった.人工海水に暴露後のカソード電流密度は,0.1, 0.2および0.3 V vs. SHEのいずれの電位で測定した場合でも0.01μA/cm2以下であった.自然海水中において0.2 V vs. SHEの電位条件下で形成されたバイオフィルムに対して,変性密度勾配ゲル電気泳動法試験で検出された DNA 塩基配列データは,自然浸漬条件下で形成されたバイオフィルムに検出されたデータと異なった.以上より,カソード条件下では特定の微生物が選択的に鋼表面に付着し,このような微生物がカソード電流を増大させた結果として腐食速度が上昇すると結論づけられる.
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