材料と環境
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56 巻, 2 号
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展望
論文
  • 松橋 亮, 加藤 謙治, 金子 道郎
    2007 年56 巻2 号 p. 56-61
    発行日: 2007/02/15
    公開日: 2007/07/30
    ジャーナル フリー
    海水系環境中におけるステンレス鋼のすきま腐食発生時間の推定値を定電位法により評価した.定電位試験直前に研磨をおこなったすきま付与試験片とすきまなし試験片の種々の定電位値における電流密度-時間曲線を測定し,これらの曲線の差分からすきま腐食発生時間推定値tINCUおよび試験開始からすきま腐食発生までに要した単位面積当たりの電気量QINCUの電位依存性を明らかにした.その結果,tINCUは貴な電位ほど短縮するのに対して,QINCUは電位にほとんど依存せず一定値を示すことを明らかにした.これは,すきま腐食発生前のすきま部に流れる電流密度iINCU が貴な電位になるほど増大するためである.また,このことは同時にすきま腐食が発生するために必要な金属イオン溶出量およびすきま腐食発生の根本原因である脱不動態化pHが電位にほとんど依存しないことを示唆している.
  • 松橋 亮, 松岡 和巳, 金子 道郎
    2007 年56 巻2 号 p. 62-69
    発行日: 2007/02/15
    公開日: 2007/07/30
    ジャーナル フリー
    海水系環境中における各種ステンレス鋼のすきま腐食発生後の成長性すきま腐食の進展性を実験室における定電位試験によって検討し,最大すきま腐食深さの時間依存性から板厚貫通時間 (穴あき時間) の推定をおこなった.
    ステンレス鋼の耐すきま腐食性はCl濃度の増加とともに劣化し,いずれのステンレス鋼ともおよそ100 ppm 以上のCl濃度ではすきま腐食が自然生起し,成長性のすきま腐食が進展する.その進展性を示す最大すきま腐食深さ:Dmaxは時間に対してDmaxA·tmの関数で近似されるべき関数型の挙動を示す.式中の定数:A 値は 1 h 経過後の最大すきま腐食深さに相当しCl濃度の増加とともに増大するが,べき数m値はいずれのステンレス鋼ともにCl濃度にほとんど無関係にm=0.3~0.5 の値を示した.このmの示す値は,最大深さを示す腐食部において特定の金属溶解形態と金属溶解反応の律速段階を仮定することによりある程度説明できる.また,成長性すきま腐食がステンレス鋼の板厚方向に進展し板厚貫通に至るまでの時間 (穴あき時間) は例えば,19 ppmのClを含む50℃の環境中においては板厚が1 mmの場合,SUS304鋼で約4 y,SUS316L鋼で21 yおよびSUS329J4L鋼で66 yの穴あき時間を要することが推定された.さらに,穴あき時間におよぼす電位の影響を検討した結果,SUS304鋼では300から440 mVの電位範囲では穴あき時間はほぼ一定値を示すことなどが明らかになった.
  • 砂場 敏行, 藤井 哲雄, 橘 孝二
    2007 年56 巻2 号 p. 70-75
    発行日: 2007/02/15
    公開日: 2007/07/30
    ジャーナル フリー
    高温・高圧水溶液の電気化学測定に圧力平衡型外部照合電極法を適用した.外部照合電極 (EPBRE) において発生する液間電位や熱液絡電位などの不可逆電位を高温の0.1 M KCl溶液中の内部照合電極と比較して調べた.外部照合電極により測定された電位を高温水中および25℃における標準水素電極電位に換算できることを示した.また,液間電位と熱拡散電位の測定値への影響をEPBREを用い評価した.
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