耐候性鋼材は構造物に適用する際, 環境に適合するかどうかの判断が重要となる. 著者らは, 従来から用いられてきた耐候性鋼 (JIS-SMA) ならびにニッケル系高耐候性鋼について全国各地で行ってきた暴露試験の結果を元に, 環境因子と長期の腐食量の関係を表す式を構築してきた.
本論文では, 最初にこれまで提案されてきた耐候性鋼に関する種々の腐食予測方法を整理し, 実施した暴露試験の結果に基づいて, 飛来塩分を代表とする国内環境に対する特性変化を明らかにした. これらの鋼材について一部実験室で行った腐食試験結果を加え, 腐食予測曲線を立案した. その結果, 耐候性鋼は, 従来の知見とよい一致を示したが, ニッケル系高耐候性鋼は, これまで提案されてきた耐候性合金指標
V 値に基づく予測結果より塩分に対して高い耐食性を示す可能性があることを示した. さらに, 降雨を受ける構造とすることやさび安定化補助処理を施すことにより, 長期間の腐食量を抑制させることができることを示す.
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