Zairyo-to-Kankyo
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55 巻, 4 号
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展望
論文
  • 大村 朋彦, 小林 憲司, 宮原 光雄, 工藤 赳夫
    2006 年 55 巻 4 号 p. 139-145
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    燃料電池の実用化に向けての水素の輸送・貯蔵方法の一つとして高圧水素ガスを用いる方法が挙げられる. 本研究では, 高圧水素ガスシステムで使用される材料の安全性評価を目的として, アルミニウム合金およびオーステナイト系ステンレス鋼の機械的性質を45MPaの高圧水素ガス中の低ひずみ速度引張試験 (SSRT, Slow Strain Rate Testing) により調査した. アルミニウム合金A6061-T6および安定化オーステナイト系ステンレス鋼である316L鋼は低ひずみ速度条件下 (3×10-7~3×10-6s-1) でも脆化を示さなかった. 一方, 準安定オーステナイト系ステンレス鋼である304L鋼は, ひずみ誘起マルテンサイト相の生成により水素環境中で顕著な脆化を示した. 水素環境脆化特性は, 材料中への水素吸蔵と限界応力の観点から説明された.
  • Masamitsu Watanabe, Takao Handa, Toshihiro Ichino, Nobuo Kuwaki
    2006 年 55 巻 4 号 p. 146-151
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    夏季及び冬季の1カ月間, 都市部大気に暴露した銅板上の炭素含有層を飛行時間型二次イオン質量分析により分析した. as-exposed表面における正イオンマススペクトルは夏季に生成した炭素含有層の化学組成が冬季の生成した炭素含有層と本質的に同様であることを示していた. しかしながら, 揮発性有機化合物に由来するイオンフラグメントの強度は冬季に暴露した銅板表面の方が夏季の場合と比較して強かった. 分析装置内での炭化水素によるコンタミネーションの量が2つの銅板試料で同様であると仮定した場合, 上記の強度の違いは揮発性有機化合物の物理吸着の温度依存性に起因するものと考えられた. 最表面から5nmスパッタした表面 (スパッタ表面) における正イオンマススペクトルとas-exposed表面における正イオンマススペクトルとの間には違いが見られた. スパッタ面でのみ検出された化学物質は, 標準物質のマススペクトルとの比較の結果, フタル酸ジカプリルと同定された. フタル酸ジカプリルに由来するピークは冬季に暴露した銅板試料で夏季のものより強く観測され, これは冬季の高い有機炭素粒子濃度によるものと考えられた. 冬季に暴露した銅板上に生成した厚い炭素含有層は, 腐食生成物の表面への直接的な水分吸着のバリアとなるため, 銅の大気腐食を遅らせる一要因となる.
  • 鹿毛 勇, 塩谷 和彦, 竹村 誠洋, 小森 務, 古田 彰彦, 京野 一章
    2006 年 55 巻 4 号 p. 152-158
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    耐候性鋼材は構造物に適用する際, 環境に適合するかどうかの判断が重要となる. 著者らは, 従来から用いられてきた耐候性鋼 (JIS-SMA) ならびにニッケル系高耐候性鋼について全国各地で行ってきた暴露試験の結果を元に, 環境因子と長期の腐食量の関係を表す式を構築してきた.
    本論文では, 最初にこれまで提案されてきた耐候性鋼に関する種々の腐食予測方法を整理し, 実施した暴露試験の結果に基づいて, 飛来塩分を代表とする国内環境に対する特性変化を明らかにした. これらの鋼材について一部実験室で行った腐食試験結果を加え, 腐食予測曲線を立案した. その結果, 耐候性鋼は, 従来の知見とよい一致を示したが, ニッケル系高耐候性鋼は, これまで提案されてきた耐候性合金指標V 値に基づく予測結果より塩分に対して高い耐食性を示す可能性があることを示した. さらに, 降雨を受ける構造とすることやさび安定化補助処理を施すことにより, 長期間の腐食量を抑制させることができることを示す.
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