材料と環境
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68 巻, 8 号
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展望
技術資料
  • 鈴木 智康, 小野 孝也, 髙橋 賢, 野田 和彦
    2019 年68 巻8 号 p. 201-204
    発行日: 2019/08/10
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

    淡水中における金属の腐食性モニタリングの検討を目的とし,種々の水溶液中にACMセンサ(Atmospheric Corrosion Monitor Sensor)を浸漬してその出力電流測定を行った.その結果,水温の変化や微量の水処理剤添加に対する瞬間的な応答を確認したことで,ACMセンサがごく短時間で腐食性の変化を出力として捉えられることがわかった.4種の淡水に対しては異なる出力を示し,RCMセンサ(Resistmetric Corrosion Monitor)での腐食量測定値との相関が高いこともわかった.従って,ACMセンサによって淡水系での腐食性モニタリングの可能性が得られた.

論文
  • 大谷 恭平, 塚田 隆, 上野 文義
    2019 年68 巻8 号 p. 205-211
    発行日: 2019/08/10
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,気液交番環境で低合金鋼の表面に形成する鉄さび層を断面観察および分析により解析し,気液交番環境における低合金鋼の腐食加速機構を解明することを目的とした.結果より,気液交番環境で低合金鋼には外側から赤さび層(γ-FeOOH),クラスト層(Fe3O4),内部結晶(Fe3O4),内部鉄さび層から成る多層の鉄さび層が形成することを見出した.鉄さび層は低合金鋼が水膜環境下に暴露されることで形成し,その構造に起因してカソード反応は常時水中に浸漬された場合よりも加速された状態を維持していたため,低合金鋼の腐食速度は増大したと考えられる.

  • 中津 美智代, 押川 渡, 篠原 正
    2019 年68 巻8 号 p. 212-219
    発行日: 2019/08/10
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

    カーボンをカソード電極としたFeCセンサを試作し,屋外環境および恒温恒湿環境におけるセンサ出力挙動について調査をおこなった.屋外試験にて,FeCセンサは,FeAgセンサとほぼ同等出力を示すが,暴露開始数日間と降雨期間に出力低下となる.FeCセンサは,そのI-RH曲線が海塩付着量および湿度増加に伴い電流増加を示すことから,FeAgセンサと同様に腐食センサとして機能する.FeAgセンサに対するFeCセンサの出力は,Ws=10 g/m2,RH>70%で0.2倍に低下,同WsのRH<60%で0.5~2倍の同等,また,Ws=0.01~1 g/m2の全湿度域で0.5~2倍の同等,Ws=0.001 g/m2では全湿度域で検出限界以下である.人工海水中,FeCセンサのEcorrは,FeAgセンサと同程度の-0.65 Vであるが,Igalは90μAと,FeAgセンサIgalの1/3以下に低下する.C電極は,Ag電極に比べてカソード電流低下,また,EIS解析から,Rct増加とCdl低下が確認される.C電極/液界面における溶存酸素の還元反応において電子授受等に反応抵抗があるものと考えられる.

  • 田土 弘人, 山路 徹, 小林 厚史, 川瀬 義行, 吉田 倫夫, 濵田 秀則
    2019 年68 巻8 号 p. 220-226
    発行日: 2019/08/10
    公開日: 2020/01/24
    ジャーナル フリー

    港湾鋼構造物の電気防食の効果の評価指標として防食率(無防食時および防食時の腐食速度から算出される指標)が一般的に用いられている.防食設計時においては,防食率は古くから90%が用いられている.しかしながら,電気防食が十分機能している場合,鋼材の腐食速度はゼロに近いことから,理論的には防食率は100%に近いと考えられる.

    本論では,まず,日本の4港湾において,テストピースを用い4年間にわたる電気防食効果の経時変化を調査した結果を基に,電気防食の効果を表す評価指標の経時変化を整理した.次に,上記の調査結果を踏まえ,全国の港湾施設に設置された多数のテストピース(計650組)を用い,電気防食の効果の実態の把握および電気防食の効果を表す評価指標に関し比較検証を行った.

    その結果,電気防食の効果を表す指標として,防食時の状態のみを用いて,かつ時間の要因を含む「防食時の腐食速度」で評価することが望ましいと考えられた.また,その電気防食の効果の評価指標とした「防食時の腐食速度」の値として,0.01 mm/y程度であることが示唆された.

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