材料と環境
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
57 巻, 11 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
展望
解説
  • 増渕 興一
    2008 年57 巻11 号 p. 461-465
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/05/19
    ジャーナル フリー
    私の職業的人生は日本における運輸技術研究所,米国オハイオ州にあるバッテル記念研究所,及びマサチューセッツ工科大学に関連していた.溶接は多くの構造物の建造に非常に重要な技術であるが,加熱により残留応力や変形を生じ各種の破壊を起こすことがある.私はこれらの問題に関する研究に永年関係して来た.私の活動の大部分は研究機関を通じての研究であったが,ある程度のコンサルティング作業も行った.コンサルティング活動の一部は日本の企業が建造し外国に輸出した物件に関連したものであった.今後を考えると外国に輸出された溶接構造物の数は増加し,使用年数も増加して行くからこれらの構造物の破壊問題は重要になって行くと考えられる.
  • 原田 良夫
    2008 年57 巻11 号 p. 466-471
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/05/19
    ジャーナル フリー
    重油燃焼ボイラで発生する高温腐食は,典型的なバナジウム腐食として知られ,腐食された管を調査すると,酸化層の下に金属硫化層と浸炭現象が存在している.これらの現象は,合成灰による実験室腐食試験では明らかにすることができない.高温腐食を防止するためMgO,Mg(OH)2などの添加剤が燃料中へ注入されている.添加剤とバナジウム化合物との化学反応によって形成される高融点で,腐食性のない反応生成物によって,管の腐食速度は減少する.しかし,これらの添加剤は,白色のMg添加剤が燃焼室管に付着することによって熱吸収率を低下させ,また燃焼ガス中のサーマルNOxの発生の原因となっている.本文では,実際のボイラで発生している高温腐食現象と実験室腐食試験との相違,燃料中へ注入された Mg 添加剤とV2O5のボイラ中における挙動,および実際のボイラプラントに適用した防食技術についてのエンジニアリングの重要性について要約した.
  • 川辺 允志
    2008 年57 巻11 号 p. 472-476
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/05/19
    ジャーナル フリー
    はじめに引抜復水器管調査の歴史について考察する.次に現状と問題点についてとりまとめる.さらに引抜銅合金管調査の改良点について記し,引抜銅合金管調査仕様書について下記のように提案する.1) 腐食原因の確定 2) 対策の勧告 3) 汚れ熱抵抗の評価 4) 腐食防止と汚れ防止との両立に関する考察 5) 渦流探傷のチャートの検討
  • 熊田 誠
    2008 年57 巻11 号 p. 477-482
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/05/19
    ジャーナル フリー
    「団塊の世代」の定年退職により技術の空洞化が生じ,若手技術者への技術の継承が大きな課題である.岡山県の水島コンビナートでは化学プラントが建設から40数年経ち,老朽化が進んでいる.老朽化したプラントでは腐食による事故が多発し,人身事故も増加している.
    若手技術者の育成と老朽化したプラントの安全確保は,プロフェッショナルの腐食防食技術コンサルタントの役割である.
    ここで腐食防食に携わる若手技術者へいくつかのメッセージを伝えたい.最後に,事例に学びノウハウ構築の事例として,“プール水のろ過装置 (SUS304) の孔食”について紹介する.
  • 尾崎 敏範, 石川 雄一
    2008 年57 巻11 号 p. 483-486
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/05/19
    ジャーナル フリー
    腐食防食技術に関連するコンサルテイング業は,学会活動とは異なる別世界の思考体系下にあることが多く,以下の行動が求められている.
    1) 腐食屋は自身が有する独自の技術・センスを他分野に持ち込めば,コンサルタント業として活躍の場が広がる.
    2) 損傷原因の解明には,損傷部品の的確な分析調査と共に損傷発生の統計的性格も参考にすべきである.また,損傷防止策は量産部品固有の事象に注目すべきである.
    3) 多様な顧客と接するコンサルティング業務は,過度に専門性に流されることなく素人にも分かりやすい指標や比喩を用い,独自のセンスを発展・研鑽する必要がある.
論文
  • 細川 裕司, 古賀 隆二, 雨谷 昭弘
    2008 年57 巻11 号 p. 493-499
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/05/19
    ジャーナル フリー
    交流架空送電線や交流電気鉄道に近接して埋設されたパイプラインにおいては,送電している交流電流が周囲に形成する磁場に起因した電磁誘導の影響による交流迷走電流腐食リスクがあり,その対策としてパイプラインの低接地措置が一般的に実施される.ここで,パイプラインに発生する電磁誘導レベルを埋設する以前に予測することは,交流迷走電流腐食リスク評価および最適な低接地システムの設計に有効である.そこで本報では,磁気センサを用いた磁束密度計測に基づく電磁誘導レベル予測手法について,理論検討およびフィールド試験を行った.理論検討の結果,交流架空送電線の周囲に形成される磁束密度とパイプラインの電磁誘導レベルの関係式を導出した.また,フィールド試験により本関係式の妥当性を実証するとともに,磁気センサを用いた磁束密度計測により電磁誘導レベルを予測できることを明らかにした.本手法は,パイプラインが複数の送電線と複雑な位置関係で近接して,電磁誘導レベル予測が困難な場合についても適用できる可能性がある.
  • 武邊 勝道, 大屋 誠, 安達 良, 大田 隼也, 落部 圭史, 梶谷 慧, 北川 直樹, 立花 裕介, 原 貴之
    2008 年57 巻11 号 p. 500-505
    発行日: 2008/11/15
    公開日: 2009/05/19
    ジャーナル フリー
    耐候性鋼橋梁の仕様を決定する際の基準となる飛来塩分量の測定法には土研式タンク法とドライガーゼ法がある.本研究では,島根県松江市で両方の方法で飛来塩分調査を行い,各方法の飛来塩分の捕集効率を議論した.土研式タンク法は捕集口の向きから飛来塩分のみを捕集し,ドライガーゼ法は表裏の両方向からの飛来塩分を捕集することを考慮すると,ドライガーゼ法の方が単位面積あたりの飛来塩捕集効率が高いことが明らかとなった.
feedback
Top