Zairyo-to-Kankyo
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60 巻, 8 号
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展望
論文
  • 青木 聡, 伊藤 淳貴, 八鍬 浩, 宮坂 松甫, 酒井 潤一
    2011 年 60 巻 8 号 p. 363-367
    発行日: 2011/08/15
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,腐食すきま内模擬溶液中で,二相ステンレス鋼の優先溶解挙動と保持電位およびその時の経過時間との関係を調べた.活性態電位領域(-370, -300および-260 mV vs. SCE)に定電位保持した時の電流密度は試験開始後,ある値まで減少し,その後は24時間の試験終了まで経過時間によらずほぼ一定の値を示した.不働態領域(-200 および-150 mV)では,試験開始後数時間で電流密度が大きく減少し,その後は試験終了まで低い値を示した.全電位領域において,定電位保持試験で求めた電流密度の値は,動電位アノード分極曲線から得られた値に比べ,1桁程度小さくなった.活性態領域のうちの卑側の電位(-370 mV)ではフェライト相が,また貴側の電位(-260 mV)ではオーステナイト相が優先溶解し,不働態領域では両相が全体的に不働態溶解することが確認された.この溶解挙動の傾向は,15分間の定電位保持試験と24時間の定電位保持試験とで同一であった.また,活性態領域で定電位保持した場合の溶出金属イオン量の割合は各保持電位における優先溶解相の化学組成に近い値となった.すきま内溶液への溶出金属元素の組成は優先溶解相の化学組成を反映しているものと考えられる.
  • 菅原 克生, 坂井 広和, 斉藤 仁志
    2011 年 60 巻 8 号 p. 368-373
    発行日: 2011/08/15
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    各種 Ni-Cr-Mo(-Ta)系合金溶接棒を用いて形成した突合せ溶接部を含むNi基合金試験片の腐食すきま再不動態化電位(ER,CREV)を高温高濃度NaCl溶液中で測定することにより,溶接部における耐すきま腐食性を評価した.溶接線を含む試験電極のER,CREVは,すきま腐食が主に溶接部に発生するという条件下で,溶接部のER,CREVと見なすことが出来た.この際,溶接部の耐すきま腐食性は合金元素が希薄となる樹芯組成に支配され,耐すきま腐食性が低下することがわかった.溶接部のER,CREVと樹芯組成から算出される PRE(Ta)=[%Cr]+3.3 ([%Mo]+0.5 [%W])+7.7 [%Ta]の相関直線は,母材のER,CREVとPRE(Ta)の相関直線と一致することが確認された.温度を上げるなど,より厳しいすきま腐食環境では,共金材で溶接したAlloy 22は,溶接部と母材のER,CREVは同じ値となった.溶接部の耐すきま腐食性は樹芯組成支配から平均的な化学組成支配に変化することが示唆された.
  • 柴田 俊夫
    2011 年 60 巻 8 号 p. 374-379
    発行日: 2011/08/15
    公開日: 2012/02/01
    ジャーナル フリー
    酸素の欠乏した深層地下還元環境における炭素鋼腐食速度をモニタリングするために,水素透過電流測定法による腐食電流測定装置を開発した.炭素鋼飲料缶を用いた炭素鋼腐食モニター電極の内面にNiめっきおよびPd-Niめっきを施して,これを水素検出電極とした.測定された水素透過電流密度から求められた腐食電流密度の値は文献値とよい一致を示した.炭素鋼腐食電流密度は,pH<3.5の酸性域では時間に依存せず,pH>3.5の中性およびアルカリ性域においては放物線速度則に従って減少し,長時間後には0.01 μA/cm2以下の低い値を示すことが明らかになった.
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