飛来塩分量・腐食センサを含む構造物表面での海塩粒子の沈着量分布推定のため,センサを模した典型的な物体である鉛直平板周りの粒子接近風に対してURANSによる数値シミュレーションを実施した.平板への衝突率について,風向の影響は小さいが,粒子径とともに急増した.小さな粒子の場合,前部でのはく離により円柱に対するものより大きくなる.衝突効率の予測に,接近風速と構造物寸法に基づくストークス数が有効である.
本研究では,塩化物イオン(以降Cl-と記す)を含むコンクリート模擬溶液中および実際のコンクリート中において,溶融Zn めっき鋼板の腐食機構と耐食性を調査した.コンクリート模擬溶液中ではめっき表面にめっきの腐食を抑制するCa(Zn(OH)3)2・2H2O(以降CHZ と記す)が形成したが,Cl-濃度の増加に伴い耐食性が低下した.Cl-存在条件下ではZn5 (OH)8Cl2・H2O やCaCO3 が形成し,CHZ の被覆率が低下したためであると考えられる.一方で,実際のコンクリート中では,Cl-濃度によらず腐食促進試験による耐食性低下は確認されなかった.コンクリート中に浸透したCl-が鋼板表面にまで到達せず,CHZ が試験後にも残存したためであると考えられる.