材料と環境
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55 巻, 2 号
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展望
解説
論文
  • 藤原 和俊, 神戸 弘巳, 平野 秀朗, 杉本 克久
    2006 年55 巻2 号 p. 61-69
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    有機金属化学蒸着 (MOCVD) 法により, Fe, CrおよびNiを含む種々の複合酸化物皮膜をステンレス鋼表面に形成し, 高温水中での耐食性および放射性腐食生成物の蓄積挙動に及ぼす皮膜の種類と成膜温度の影響について検討評価した. BWRおよびPWR一次系模擬条件での浸漬試験の結果, MOCVD法により形成した酸化物皮膜は高温水中で安定であった. Cr2O3皮膜付試験片の放射能の蓄積量は, 成膜温度が高いほど小さくなった. XRDスペクトルの観察結果から, 皮膜の結晶性の向上が, 耐食性を向上させるとともに, 放射能の蓄積量を低下させると推測された. 一方, NiO-Fe2O3皮膜は, 放射性核種である60CoがNiFe2O4構造を有する酸化物皮膜へ取り込まれるため, 放射能の蓄積量を低下させることが出来なかった. 以上の結果より, 結晶性に優れたCr2O3皮膜を形成することにより, BWRおよびPWR一次系環境中でステンレス鋼の腐食を抑制し, 放射能の蓄積量を低減できることが明らかとなった.
  • 鷲頭 直樹, 片田 康行
    2006 年55 巻2 号 p. 70-74
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    Type 316L鋼ならびに2種類のN添加オーステナイトステンレス鋼に対してオージェ分光分析を行った. N添加鋼は16%Cr, 14%Ni, 2%Moおよび0.17%Nを含む16Cr-14Ni-2Mo-0.17N鋼ならびに18%Cr, 2%Moおよび1%Nを含む18Cr-2Mo-1N鋼とした. 0.5mol・dm-3 NaClを含む0.5mol・dm-3 H2SO4中で活性溶解処理を施すと, 16Cr-14Ni-2Mo-0.17N鋼ならびに18Cr-2Mo-1N鋼表面のCrは濃化したが, いずれの場合もType 316L鋼表面のCr濃度を超えることはなかった. Type 316L鋼ならびに18Cr-2Mo-1N鋼に対してすきま腐食試験および再不働態化試験を行った. 35℃の人工海水中ですきま腐食が発生および成長した最低電位は, 18Cr-2Mo-1N鋼の場合Type 316L鋼に比較して大幅に貴な値となった. Type 316L鋼の場合, 腐食すきま再不働態化電位は腐食すきま深さに依存しなかった. 一方, 18Cr-2Mo-1N鋼の場合, 腐食すきまが深くなるに従って再不働態化電位は卑化し, 腐食すきま深さが0.3mmに達すると, 18Cr-2Mo-1N鋼とType 316L鋼との間で腐食すきまの再不働態化電位に差は認められなくなった.
  • 原 修一, 上村 隆之, 門長 猛, 幸 英昭
    2006 年55 巻2 号 p. 75-81
    発行日: 2006年
    公開日: 2007/06/28
    ジャーナル フリー
    山間部橋梁の耐候性鋼桁周辺の局所的大気ぬれ環境を明らかにするため, 鋼表面近傍の気温, 湿度および鋼表面温度を桁部位ごとにモニタリング装置で2年間同時計測した. この計測値から6箇所の結露時間 (TOC ) を算定した. 得られたTOC とさびの性状を比較するため, 代表的な計測部位におけるさび層の性状をXRD, 電位, さび厚測定および外観表面観察によって調べた. 得られたすべての部位のTOC は著しく短く, ISO 9223により算定されるぬれ時間 (TOWISO) の10%以下であった. 低水準のTOC 値はさび厚の薄さと対応した. また, TOC はγ-FeOOHの組成比, 電位およびさび外観に影響を与えた. この1つの山間部における橋梁桁の局部部位において, ぬれ環境指標としてTOCTOWISOよりも適正であるといえる.
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