Zairyo-to-Kankyo
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57 巻, 6 号
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展望
解説
  • 佐藤 眞直, 藤本 慎司
    2008 年 57 巻 6 号 p. 250-257
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/26
    ジャーナル フリー
    ステンレス鋼の開発研究において,その不働態皮膜の安定性についてもメカニズムにはまだ不明な点が多い.この理由は不働態皮膜が膜厚数nmの極薄膜であることに起因する構造解析の困難さによるところが大きい.我々はこの不働態皮膜の構造解析技術の開発を目的として,SPring-8を用いSUS304L鋼及びSUS316L鋼上の不働態皮膜について微小角入射X線散乱(GIXS)測定及び全反射XAFS測定を行った.GIXSの結果からはこれらの皮膜の構造がスピネル型構造の特徴を持つことが示唆された.また,全反射XAFSの結果からは不働態皮膜中にCrが濃化していることが示された.この記事では過去の放射光を用いた不働態皮膜研究についてまず概観し,上記の我々が行った実用ステンレス鋼の不働態皮膜に対する構造解析技術の検討結果について報告する.
  • 名越 正泰, 河野 崇史, 野呂 寿人, 濱田 悦男
    2008 年 57 巻 6 号 p. 258-263
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/26
    ジャーナル フリー
    鋼板の表面および表面の処理層中に存在する元素の化学結合状態を解析する手法として,放射光を用いた X 線光電子分光および X 線吸収端微細構造法を紹介する.これらの手法は,非破壊での深さ方向分析,結合状態の識別等の点で,既存の表面分析法では取得困難な情報を得ることができる.本解説では,手法の特徴と鉄鋼材料への適用例を述べる.
論文
  • 馬渕 勝美, 伊藤 雅彦, 町澤 健司, 相沢 道彦, 高橋 英明
    2008 年 57 巻 6 号 p. 274-281
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/26
    ジャーナル フリー
    高温高濃度 LiBr-LiNO3-KCl-LiOH混合吸収液中におけるSUS304,SUS316L,およびSUS430鋼の腐食挙動を温度の関数として検討した.酸化皮膜は,XRD,XPSおよび化学分析を用いて解析した.SUS304,SUS316LおよびSUS430は,463 Kまでの温度範囲では不動態化し,しかも孔食などの局部腐食は観察されない.383 Kでは極薄い不動態皮膜は生成しているもののそれ以外の酸化皮膜は生成しないが,温度上昇とともに厚い酸化皮膜が生成する.インヒビターとしてLi2MoO4を添加した場合,SUS304およびSUS430では溶出量は変化しないが,酸化皮膜量が増加した.SUS316Lでは添加の影響は見られなかった.いずれの鋼種においても酸化皮膜の最外層の主成分は,γ-Fe2O3であると考えられる.混合吸収液中におけるステンレス鋼の高耐食性を,γ-Fe2O3の皮膜補修効果の点から考察した.
  • 皆川 浩一, 早房 敬祐, 須賀 一博, M. リダ, 天谷 賢治, 青木 繁
    2008 年 57 巻 6 号 p. 282-287
    発行日: 2008年
    公開日: 2009/02/26
    ジャーナル フリー
    本研究では,コンクリート表面で得られる電位からコンクリート内の鉄筋腐食を同定する逆問題において,網目要素とGAを段階的に用いて効率的な逆解析を行う手法を提案した.提案する手法は,GAを用いて特別な仮定を設けなくとも任意の個数,形状,位置の腐食を見つけることができる.また,必要に応じて同定精度を向上できる.次のような方法で,提案する方法を実現している:(1)必要とする解の精度に応じて解析精度,すなわちBEMに用いる要素分割の粗さを調節する.(2)鉄筋の要素分割に,網目要素を用いて要素数を減らす.(3)腐食が存在すると判断された領域のみを取り出して詳細な逆解析を行う.数値シミュレーションを行った.その結果,提案する方法で精度良く腐食を見つけることができることが分かった.従来の方法にくらべ計算時間は約1/100になった.
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