Zairyo-to-Kankyo
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56 巻, 12 号
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展望
解説
論文
  • 早野 智晴, 松尾 卓摩, 長 秀雄, 竹本 幹男
    2007 年 56 巻 12 号 p. 560-567
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高温部材からのアコースティック・エミッション (AE) をモニターする目的のため,耐熱光ファイバ AE センサとホモダイン・マッハツェンダー型レーザ干渉計を開発した.銅でコーティングされた光ファイバは耐熱センサとして使用でき,高温パイプのAEを600℃で108 ksまでモニターした.光ファイバセンサは,パイプの外周に巻きつけることによって,通常のPZTセンサはモニターできない円筒波のL(0,1) モード波を効率よく検出できることが分かった.このシステムをタイプ304ステンレス鋼管の加速酸化によって生成する非保護性スケールの破壊やはく離によるAEの検出に使用した.検出された円筒波AEは,2種類のモードI型破壊,すなわち円周方向に開口ベクトルを持つ割れ (スケール破壊) と,半径方向にベクトルをもつはく離に分類した.冷却中に検出された膨大な数のAEは,スケールの破壊によるAEであることが分かった.これらの音源位置は円筒波の80 kHzにおけるL(0,2) とF(1,1) モードの到達時間差を用いて標定され,スケールのある領域に存在することが分かった.
  • 森 裕章, 勝山 仁哉, 望月 正人, 西本 和俊, 豊田 政男
    2007 年 56 巻 12 号 p. 568-575
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    低炭素ステンレス鋼SUS316L溶接部の機械加工層における粒界応力腐食割れ発生挙動に及ぼす残留応力と硬化の影響の解明を目的として,実機構造物の代表的な例として配管突合せ継手を対象に,熱弾塑性力学シミュレーションによる残留応力と硬化度の評価,ならびに材料のミクロ変形挙動に注目した粒界すべり解析の両面から,同割れ発生機構に関する統合的検討を試みた.
    塑性ひずみと硬さの関係を明らかにするとともに、表面強加工を模擬できる弾塑性解析手法を開発し,前述の関係から実際の切削加工による硬さおよび残留応力分布を再現した.一方,同鋼の加工硬化材に対して561Kにて定ひずみ速度引張試験を行った結果,粒界すべりが生じるとともに,加工硬化によって同すべりが助長されることがわかった.また,粒界すべりの発生により粒界エネルギーが増大することが判明した.これらの結果から,低炭素ステンレス鋼SUS316Lの表層強加工された溶接部における粒界応力腐食割れは,多層溶接時の残留応力と加工硬化により粒界すべりが助長され,これに伴い粒界エネルギーが増大することに起因するものと推察された.
  • 谷口 直樹, 鈴木 宏幸, 中西 智明, 中山 武典, 舛形 剛, 建石 剛
    2007 年 56 巻 12 号 p. 576-584
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2008/06/12
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物処分におけるチタンオーバーパックの長期水素吸収挙動と水素脆化の可能性を検討した.定電流カソード分極試験結果より,電気量が同じ場合,電流密度が低いほど多くの水素が吸収されるとともに、より内部まで水素が侵入した.水素を吸収したチタンの機械的特性試験結果から,水素がチタン内部まで均一に分布したものが最も脆化の程度が大きくなった.低酸素濃度条件での水素吸収量は1000年間で約400 ppmと評価され,均一な水素濃度分布を仮定すると6 mm厚のチタンオーバーパックにおいて,破壊が生じうるのは降伏応力相当の応力条件に対して亀裂寸法が約2~3 mm以上の場合と推定された.
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