Zairyo-to-Kankyo
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56 巻, 1 号
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展望
解説
論文
  • Masamitsu Watanabe, Hiroshi Ando, Takao Handa, Toshihiro Ichino, Nobuo ...
    2007 年 56 巻 1 号 p. 10-15
    発行日: 2007/01/15
    公開日: 2007/06/29
    ジャーナル フリー
    二酸化硫黄は金属の大気腐食に影響を与える典型的なガスである.銀及び銅の大気腐食に及ぼす二酸化硫黄の影響についてはこれまで多くの研究がなされてきたが,初期腐食挙動についてはほとんど知見が得られていない.本研究では X 線光電子分光(XPS)により低濃度二酸化硫黄(18 及び 148 ppb)を含む大気に暴露した銀及び銅板上の硫黄の化学状態を分析した.いずれの二酸化硫黄濃度においても XPS スペクトルの形状は同一であり,元素の化学状態は二酸化硫黄濃度に依存しないことを示していた.また,銀板上と銅板上の硫黄の化学状態は異なることを見い出した.銀の場合には,bisulfite,S2O52-, S2O32-, S2- に由来する 3 つのピークが観測された.bisulfite は表面吸着水への二酸化硫黄の溶解に,その他の成分は亜硫酸の還元に由来するものと考えられる.一方,銅の場合には bisulfite に由来する成分のみが観測された.この成分も表面吸着水への二酸化硫黄の溶解に由来する.銀板上と銅板上に存在する硫黄の化学状態の差異は,bisulfite の還元を妨害すると思われる酸化物の存在に起因する.
  • 黛 正己, 加古 謙司, 太田 丈児
    2007 年 56 巻 1 号 p. 16-21
    発行日: 2007/01/15
    公開日: 2007/06/29
    ジャーナル フリー
    Fe-18%Cr-14%Ni をベースとして,0.5%Si, 1.0%Mn および C, P, S をそれぞれ 100 ppm 含む合金(Fe-18Cr-14Ni-0.5Si-1.0Mn-CPS 合金)をコールドクルーシブル法により製造し,過不働態腐食に及ぼす固溶化処理条件,均質化処理,熱間/冷間圧延,時効および冷間圧延と時効の組合せ処理の影響を高濃度硝酸中で検討した.これらはステンレス鋼の溶製時および構造物の製造時の条件を模擬した処理である.この結果,Fe-18Cr-14Ni-0.5Si-1.0Mn-CPS 合金の耐食性を劣化させる処理は[冷間圧延]+[時効]処理のみであることが判明した.また,耐食性の劣化原因を不純物元素およびミクロ組織の観点から検討し,P の粒界偏析の影響が大きいものと推定した.
    なお,Fe-18Cr-14Ni-0.5Si-1.0Mn-CPS 合金は高酸化性イオンを含む 5 kmol/m3 硝酸中で SUS304L 鋼と比較し優れた耐食性を示すことが判明した.
  • 国谷 治郎, 笠原 茂樹, 安齋 英哉, 藤森 治男
    2007 年 56 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 2007/01/15
    公開日: 2007/06/29
    ジャーナル フリー
    CBB 試験及び隙間付き UCL 試験により各種溶体化オーステナイトステンレス鋼の高温水中 SCC 感受性について検討した結果,以下の点が明らかになった.
    (1) 隙間環境及び高負荷応力下において,304,304L,316L,316NG 及び 347NG はいずれも高温水中 SCC 感受性を発現する.(2) 加工誘起マルテンサイトは溶体化オーステナイトステンレス鋼の高温水中 SCC に対する促進要因であるが必要要因でない.(3) 高温水中 SCC 感受性の材料序列及び冷間加工の影響は CBB 試験と隙間付き UCL 試験において異なる.これは,両試験法における応力負荷時のひずみ量の相違に起因する.
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