一部の加圧水型軽水炉(PWR)の2次系統では,系統材料の腐食抑制を図るため,アンモニア(NH
3)およびエタノールアミン(ETA)濃度を高める高pH運転が行われている.国内PWRでは,系統構成機器及び部材の一部に銅系材料が使用されているため,高pH運転条件での,これら銅系材料の腐食挙動を把握する必要がある.本報では高pH運転での復水系統,高圧給水系統および主蒸気系統を模擬したアンモニアおよびエタノールアミン溶液での銅系材料の腐食挙動を評価すると共に,引張試験により材料健全性を確認した.
銅系材料の腐食挙動はエタノールアミン溶液中とアンモニア溶液中でほぼ同等であり,溶存酸素を含む70℃の条件では,主に酸化物形成を伴う腐食が生じ,溶存酸素を含まない220℃および280℃の条件では,添加元素の選択溶解による腐食を生じた.また,銅系材料の腐食速度は,Pb含有率の増加とともに増加した.銅系材料の腐食は各材料の引張特性に影響を及ぼさない.但し,浸漬温度条件によっては,一部の材料で熱の影響により軟化,あるいは脆化する.
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