1933年日本種郡是青より突然變異として現れた淡墨斑紋をなす蠶兒に就て其特徴及び遺傅關係を研究した。
1.この蠶兒の斑紋は淡墨色を呈し、頭部に額斑を有する特徴有り、蟲質虚弱で、雌蛾は完全なる不妊性であり、雄蛾は交尾能力微弱である。
2.淡墨斑は附加斑紋の1種にして、正常型即ち非淡墨斑に對し、1遺傳子の差に基く單純なる劣性として遺傅する。依つて其の遺傳子記號をbdを以て表はす。
3.bdはI (優性白繭) と
og (アスコリー油) との聯關群に屬し、Iとの間には雄に於て約16.55%の交叉が行はれるが、雌に於ては, 其聯關は完全である。然し材料の關係上ogとの間の組換率は實驗的には求められなかつた。
4.本聯關群は既知聯關群とは別個の新聯關群を形成するものである。
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