桑の乾物生産に及ぼす摘葉の影響を明らかにするために, 生育中のポット植桑苗に対して葉面積を基準にして, 摘葉量と部位を考えた処理を行ない, 処理前および処理後の乾物総生産量を調べた。処理区は, 無摘葉区, 上半部1/5, 2/5, 3/5, および4/5 (全葉面積に対して) 摘葉区, 下半部1/5, 2/5, 3/5および4/5摘葉区, ならびに全摘葉区 (5/5) の10区であった。結果の大要はつぎのとおりである。
1. 摘葉摘芯処理後の再発芽の状態は, 上半部摘葉では摘葉量が多いほど発芽伸長する再発枝が多い。これに対して下半部摘葉では摘葉量に関係なく先端部の数芽が発芽伸長した。全摘葉区では当初の発芽数は多かったが, その後の再発枝の伸長は劣っていた。
2. 乾物生産量は無摘葉区が最も多く, 摘葉量の増加にともなって処理後の乾物増加量が少なかった。
3. 上半部摘葉区は下半部摘葉に比較して処理後の乾物増加量が少なかった。
4. 乾物増加量の各器官に対する分配率は摘葉量が増加するにつれ新葉に多く, 株や根に対しては逆に少なくなった。
5. 摘葉処理前とその後の個体当りの桑葉の総生産量は無摘葉区が最も多く, 下半部摘葉ではやや減少した。また, 上半部摘葉ではさらに減少した。
6. これらの結果を通じ, 摘葉後の乾物生長に対する残葉の役割として第一に残葉の光合成能に関連する要因と, 第二に残葉が処理後の再発芽に関連している要因の二つが考えられた。
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