エスレルの高濃度液を桑の梢端に散布すると, 被散布葉は脱葉し, 梢端部も枯死する。その後における側芽の発芽は摘梢処理に比べて発芽は遅れかつ不斉となる。エスレルによる側芽の発芽処理にあたって, その発芽成長を促進するためにジベレリン (GA) の散布を併用して, 大要つぎの結果を得た。
1. 対照I (摘梢), 対照II (摘梢摘葉), エスレル散布, およびエスレル+GA散布の4区を設け, あらかじめ+GAは100ppm液を上部1/2に散布し, エスレルは3,000ppm液を上部1/2に散布した。エスレルの散布部位では脱葉し, +GAはそれを助長する傾向を示して梢端部も枯死した。側芽の発芽は対照I, II区が早く, エスレル区は遅れかつ不斉となり, 発芽数では対照I区<II区<エスレル区<+GA区の順に多かった。再発枝の総枝長は+GA区が最も長く, その葉量は対照II区と+GA区が多く, エスレル区は少なかった。
2. 対照 (摘梢摘葉), エスレル (1/4) 散布, エスレル(1/4) +GA散布およびエスレル (1/2) +GA散布の4区を設けたが, +GA区はあらかじめジベレリン200ppm液を全条に散布し, その後エスレル4,000ppm液を上部1/4, 1/2に散布した。エスレルの散布部位で脱葉枯死が観察され, +GAはそれを助長する傾向があった。側芽の発芽は対照区が早く, エスレル (1/4) 区はもっとも遅れかつ不斉となり, +GA区の発芽数は他の区の約2倍であった。エスレル (1/4) 区の再発枝の成長は最も劣り, その葉量は対照区に比べて+GA区は約80%であった。
3. エスレルおよびジベレリンの濃度と散布部位は散布後における側芽の発芽所要日数, 発芽数などから, エスレルは3,000ppm, GAは100ppm以上を全長の上部1/4~1/2散布が適当であること, エスレルにジベレリンを併用した側芽の発芽処理による夏秋蚕期稚蚕用桑の全芽育成の実用化について若干の考察を行なった。
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