1. 蠶兒を各種氣壓にて處理するときは-600mmに於て最も早く斃蠶現れそれより常壓に近づくに從て發現時期逞れ又斃蠶數は2日目に最も多く出で以後概して漸減する。對1頭食桑量は常壓で最も多く高壓或は低壓ては比較的少い。殊に5齢蠶見の場合は高壓或は低壓になうに從て漸減す。
異氣壓による蠶見の斃死状態は食慾が漸減すると共に體前方の透明度が増し殊に減壓區では體が緑青色になり且つ吐液して死ぬものが多い。2. 蠶兒の脈搏數は♀蠶兒を使つて加壓する場合に明瞭なる結果が見られないのを除けば概して常壓より+或は-へ遠ざかるに從て減少する傾向がある。+200及び-200mmに於ては常壓にして氣門閉鎖囘數が少く殊に+200mmに於て一層少い。閉鎖度も常歴及び-200mmに比して+200mmの方が幾らか閉ぢ氣味である。
3. 點青期の蠶卵を各種氣壓で處理する時の催青死卵歩合は概して-200mm及び-300mmの低壓に於て比較的大きい。而して+100mm.-50mm-100mmの各區に於ける値が常壓に於けるよりも小さいことは注目される。催青死卵歩合と處理時間との間に明瞭な關係はない。
4. 減蠶歩合は6及び24時間處理の場合は-200mm及び-300mmの兩區に於て比較的大きく48時間處理では各區共可成り大きな値を示す。常歴に於ける減蠶歩合は比較的大きく24時間處理の-300mm, を除く各區に於ては何れも常壓區よりも少い。殊に6時間處理の+100mm、-50mmの兩區及び24時間處理の-50mm區に於て常壓區の1/2-1/3値を示すことは應用的見地からも興味深いと思はれる。
5. 蛹體重と氣壓との關係は明瞭てはないが長時間に亙る時は減少の傾向が見られる。氣壓の高低及び處理時間の長さは孵化歩合.結繭蠶歩合、簇中斃蠶歩合等との間には大なる關係がない。
6. 常壓、殊に外氣中に於ける産卵數は高壓或は低壓に於けるよりも多く卵期間は常壓に於て最も短くそれより高壓或は低壓となるに從て遅れ殊に-600mm に於ては催青前に全部死卵となる。又+200mmに於ては漿液膜が濃赤色に着色するが他の匠に於ては淡赤色で且つ着色の時も違い。
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