ショ糖, あるいは Percoll を用いた平衡密度遠心法により
Nosema bombycis および3種の未同定微胞子虫の成熟胞子と思われる屈光性の大きな胞子の精製を試みた。
ショ糖を用いた平衡密度遠心法では50~60% (w/w) ショ糖溶液上に, 30%ショ糖溶液に浮遊した部分精製胞子を重層し, スイングローターで75,000g, 30分間遠心したが, 明瞭なバンドの形成が見られず, 屈光性の大きな胞子のみを分離することはできなかった。また, この方法では胞子の洗浄中の孵化や, その後の保存中の不活化が起こり易く, 微胞子虫の胞子精製には不適当であった。
一方 Percoll を用いた平衡密度遠心法では, 部分精製胞子を浮遊させた Percoll 液をアングルローターで73,000g, 30分間遠心して3本のバンドを形成させることができた。最下層のバンドは屈光性の大きな胞子のみより成り, また蚕組織片, 屈光性の小さな胞子, 細菌などをほとんど含まなかった。また Percoll の胞子への影響は見られず, 胞子の収率も良かった。
以上の結果から, Percoll を用いた平衡密度遠心法によって屈光性の大きな胞子の分離, 精製を安定かつ容易に行いうることが認められた。
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