日本蚕糸学雑誌
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66 巻, 4 号
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  • 土田 耕三, 伴野 豊, 橋戸 和夫
    1997 年 66 巻 4 号 p. 233-241
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 畠山 吉則, 川上 裕司, 岩野 秀俊, 井上 正, 石原 廉
    1997 年 66 巻 4 号 p. 242-252
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕に感染性を有する微胞子虫のSSUrRNAの全配列を決定した。調べた微胞子虫は以下の5つの系統である。Nosema bombycis SES-NU, N. bombycis Sd-NU-IW8401, Nosema sp. NIS-M11, Vairimorpha sp. NIS-M12おとび Pleistophora sp. Sd-NU-IW8201。の系統に加えて, 既に報告されている数種の微胞子虫のSSUrRNAの配列も併せて考慮した結果, SSUrRNAの長さ, GC含量, 一次配列から計算される類似度と遺伝的距離, さらに推定された二次構造モデルにおける各ステムの存否のいずれから判断しても, Nosema sp.NIS-M11は Nosema 属よりも Vairimorpha 属との類似度の方が高かつた。この結果より, Nosema sp. NIS-M11は Vairimorpha 属に分類されるべきであると推定した。この推定は, 胞子形成に関する形態学的観察を支持し, さらに既に報告した染色体の数に基づく推定とも矛盾しない。
  • 白井 孝治, 藤井 博, 土井 良宏
    1997 年 66 巻 4 号 p. 253-260
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    Ict-D遺伝子によって発現が支配されているキモトリプシンインヒビター (CI-8) をカイコ体液から分離した。CI-8は糖鎖を有する分子量42,000, 等電点が5.0のタンパク質であった。CI-8はpH7で65℃で完全に失活した。またpH6以下の酸性領域で活性が減少するが, アルカリ性領域pH 7-11では安定であった。CI-8は牛膵臓キモトリプシンおよびカイコ消化液プロテアーゼを強く阻害したが, カイコの病原性糸状菌 (Beauveria bassiana) プロテアーゼを弱く阻害した。CI-8抗体はIct-D遺伝子に支配されているCI-6とCI-7とは反応したが, 他の遺伝子Ict-A, Ict-B, Ict-E, Ict-Hに支配されているキモトリプシインインヒビターとは反応しなかった。
  • 佐原 健, 川村 直子, 飯塚 敏彦, 土井 良宏
    1997 年 66 巻 4 号 p. 261-265
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    九州大学において正常系統の保存品種 (183) 中より大型卵を産下する雌個体が1頭出現した。遺伝的交配実験により, この大型卵を発現する遺伝子はGe遺伝子と複対立関係にあり偽母性様式に従って遺伝することが明らかになり, この遺伝子記号をGe2と命名した。
    限性黄繭系統 (Sy) 雌にGe2系統雄を交配して得たF1雌の卵母細胞には, 非相称なZ-W染色体対が観察された。Ge2遺伝子の由来がGe遺伝子と同一であるかどうかを明らかにするために, Ge2系統のZ染色体の長さを調査したところ, 28染色体対の揃った4つの卵母細胞中における性染色体対は長い順に並べた場合, 第4番目から第9番目に位置しW/Z比は1.35であった。これらの結果は, Ge2系統のZ染色体の長さが従来の大卵系統と同様に長いことを示し, Ge2遺伝子は卵サイズ決定遺伝子 (Esd) を含むW染色体の一部がZ染色体に転座して生じたと推測された。
  • 山田 晶子
    1997 年 66 巻 4 号 p. 266-271
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    絹と他の繊維素材布の熱伝導率を熱線法により20℃, 65%R. H. の環境で計測した。布の重ね枚数を50枚以上の厚さにすると, 再現性のある計測が可能である。
    布の構造的な特徴は, 低荷重で計測した布厚さから求められる繊維体積率に表れ, 布の熱伝導率は, 繊維体積率と一定の関係を示した。一般的に, 繊維体積率が増えると, 熱伝導率も高くなるが, 絹では羊毛と同様にその変化が小さく, 綿, 麻, ポリエステルでは変化が大きい。絹と他の繊維素材を比較すると, 絹は羊毛に次いで大きく, ポリエステル, 綿, 麻の順に熱伝導率が高くなることが分かった。
    布の熱伝導率λkから, 空気分率に相当する熱伝導率λaを引いて求めた繊維固有の熱伝導率λkfは, 絹では0.25と最も低くまた素材毎に固有な値を示した。布の熱伝導率λkと繊維固有熱伝導率λkfは相関を示し (0.68), フィラメント織物の絹・ポリエステルでは, 繊維固有熱伝導率に較べて布の熱伝導率が高く, 綿・羊毛などの紡績糸織物では布の熱伝導率が低い傾向が認められた。絹では, 繊維固有熱伝導率が繊維中最も低いが, 布になると羊毛より高く, ポリエステルより低いという特徴を示した。
  • 昆虫行動特性解析システムの開発 (第1報)
    大浦 正伸, 彭 彦昆
    1997 年 66 巻 4 号 p. 272-276
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    昆虫類の行動特性解析システム開発の一環として, CCDカメラ, 高精度画像認識装置, 照明光源, ビデオレコーダーおよびこれら機器の制御と計測データの解析を行うパソコンを用いて昆虫行動計測システムを構成した。カイコを計測対象としてシステムの計測機能の検証を行った結果, 現在位置, 移動速度, 移動方向などの行動情報をリアルタイムで自動収集するとともにそれら情報をCRT画面上に表示することが可能となった。計測情報はファイルとして記録保存され, 収集されたデータに基づく行動特性が解析できる。さらに, 特定部位の位置情報の抽出方法に関して検討した結果, 蛍光灯光源下で600nm光学干渉フィルターおよび蚕体計測対象位置へのオレンジ蛍光色塗布により, 計測時の背景部分の影響を受けずにカイコの特定部位の位置情報を正確に収集処理することができた。
  • 山崎 泰正, 岡崎 博之, 鈴木 健夫, 金谷 利道, 小川 克明, 渡部 仁
    1997 年 66 巻 4 号 p. 277-281
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    バキュロウイルス・ベクターをカイコ幼虫で発現させ, 幼虫体を磨砕して目的産物を回収する場合, 実用品種のカイコでは, 絹糸腺が著しく発達しており, これが物理的に抽出の邪魔をして回収率を悪くする。また絹糸腺ではバキュロウイルスが増殖し難く, 目的産物の生産にはほとんど寄与しない。そこで絹糸腺の退化している裸虫甫系統 (Nd) の幼虫がウイルスベクターの宿主として有利ではないかと考え, Nd系統と正常系統 (+) との戻し交雑で分離するNd幼虫と+幼虫の5齢期の体重, 組織重, 食下量, 有用タンパク質の生産効率等を雌雄, 個体別に検討した。
    その結果, 全体重と消化管重にはNd幼虫と+幼虫で差がなかったが, Nd幼虫の前・中部糸腺と後部糸腺の重量はそれぞれ+幼虫の糸腺重の55%, 20%と縮小しており, 逆にバキュロウイルスの良く増殖する脂肪組織は+幼虫の脂肪組織重の1.6倍を示すほど発達していた。それにもかかわらず, Nd幼虫の5齢期の食下量 (人工飼料) は+幼虫のそれの90%以下であった。システインプロテアーゼ遺伝子欠損ベクターを用いてホタル・ルシフェラーゼを生産させ, 全幼虫体から磨砕抽出して生産効率 (生産量/体重) を調べたところ, Nd幼虫による生産効率は+幼虫よりも25-50%高かった。また, いずれの幼虫においても雌は雄よりも生産効率が20-40%高かった。このように, 裸蛹 (Nd) 系統の幼虫 (特に雌幼虫) はバキュロウイルスによる有用タンパク質生産用宿主として, 従来の繭用品種のカイコよりも有用性の高いことが明らかになった。
  • 角田 素行
    1997 年 66 巻 4 号 p. 282-284
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    Metamorphosis of insects in which a larva becomes an adult involves structural changes in most of the tissues and organs to meet the need of an adult insect (SEHNAL et al., 1996). Insect tissues and organs are classified into following five types, based on the characteristics of the changes at metamorphosis (YAMASHITA, 1986): 1) The tissues such as Malpighian tubules and fat body, that continue to exist but undergo cell remodeling by autophagy of selected cell organelles. 2) The tissues such as a silk gland and some larval muscles, that completely degenerate. 3) The tissue such as a midgut, that continues to exist but larval type cells are degenerated and adult cells are produced from regenerative cells. 4) The tissues such as an epidermis and trachaeol systems, where adult tissues are made from larval tissues. 5) The organs such as gonads, wings, complex eyes and a crop, that newly develop from undifferentiated imaginal discs.
    Leucyl-β-naphthylamidase is one kind of an aminopeptidase, which distributes in Malpighian tubules and midgut. It is believed to function in peptide digestion and its absorption. Since its distribution is apparently restricted in the first and third type of tissues, it is likely that the enzyme can be used as a functional marker at the molecular level to study the mechanisms of cell and tissue remodeling at metamorphosis. In the silkworm, Bombyx mori, some properties of midgut leucyl-β-naphthylamidase were determined (SUMIDA and EGUCHI, 1983a). This midgut enzyme changes its activity in synchronization with metamorphic events of B. mori (SUMIDA and EGUCHI, 1983b). However, activity of the enzyme of Malpighian tubules are not reported.
    In the present paper, therefore, changes in activity of Malpighian tubules leucyl-β-naphthylamidase during development are investigated.
  • 杉村 順夫, 上原 弘美, 小谷 英治, 古沢 寿治
    1997 年 66 巻 4 号 p. 285-287
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 上石 洋一
    1997 年 66 巻 4 号 p. 288-289
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 蜷木 理, 三國 辰男, 中村 邦子, 丸山 誠
    1997 年 66 巻 4 号 p. 290-293
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 庄 健二, 三浦 幹彦, 坂本 三枝, 森川 英明, 岩佐 昌征
    1997 年 66 巻 4 号 p. 294-299
    発行日: 1997/08/28
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    被験者を素材情報の提供の有無, 年齢, 使用頻度により分類し, ハイブリッドシルクパンティストッキング (PS) に対する着用感と好みに関する調査をナイロンPSと比較して行い, 得られたデータついて統計的解析を行った。その結果, 素材情報, 使用頻度に関する主効果, 素材情報と年齢との交互作用が有意水準5%で有意となり, 使用頻度が好みに影響していることおよび年齢層により素材情報を与えた場合と与えない場合では好みに変化が生ずることが明らかとなった。使用頻度が少ないグループでは, 素材情報を与えた場合, 30歳代において約7割, 40歳代においては約8割りの被験者がハイブリッドシルクPSを好む傾向があったが, その他のグループでは, 動きやすさ・伸びやすさ・肌触りの点でナイロンPSを好んでいた。高品質性が必ずしも消費者の購買行動に結びつかず, 絹製品の消費拡大のためには絹独自の特性を強く訴える必要が確認された。
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