日本蚕糸学雑誌
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36 巻, 5 号
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  • 有賀 靖治, 岩佐 博
    1967 年 36 巻 5 号 p. 355-361
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2011/08/10
    ジャーナル フリー
    ナイロン, アセテートおよび絹繊維を遠紫外光線に曝露して, 次記条件下における強力低下への温度の影響について試験した。
    (a) 乾燥酸素および乾燥窒素中 (-60~+90℃)
    (b) 関係湿度0および100%の空気中 (15~95℃) 試料は精製した未染色繊維を用い, ナイロンは艶消剤, 添加物等を含まない, Dupont de Nemours, 4-fold, 45 den. 13 fil. の繊維, アセテートはCourtaulds, 250 den. 48 fil. の繊維, また絹は精練した日本産190デニールの繊維を使用した。試料を石英の窓を持った, 各試験温度の気流が通過する真鋳製の仕切の中に入れ, 低圧水銀蒸気ランプの主として2537 Åの遠紫外線を照射した。
    (a) の条件下では, 3種類の繊維は全て, 0℃以下の温度では強力減少がほとんど認められない。しかし, 0℃以上に温度が上昇すると, 急速に脆化が起り強力は減少し始める。
    この強力の減少する傾向は, 絹, アセテート繊維については, 乾燥窒素中では乾燥酸素中におけるよりも相当に抑制される。
    特にナイロンは乾燥窒素中では, 遠紫外線曝露下での温度上昇による強力の減少は0~90℃の間でもほとんど認められない。
    これは, 酸素が存在しない時は, ポリアミドに光化学的な作用によって生成したfree radicalの, 広範囲な再結合があることによると思われる。(b) の条件下では, 遠紫外光線曝露下において, 絹, ナイロン繊維の強力減少は水蒸気により抑制されるが, アセテート繊維の強力減少は水蒸気により促進される。
    これは, ある条件下では光化学的に水分子より水酸基が生成され, これが繊維素に対しては, ポリアミド繊維よりも大きな酸化効果を持つことによると考えられる。
    また, ナイロン, アセテート繊維の100% RHの空気中における, 温度上昇に伴う強力減少の割合は0% RHの時よりも高い。絹の場合はほとんど同じ傾向を示す。
    なお, 綿繊維についても (a) の条件下において0℃以下の温度では, ナイロン, アセテート, 絹と同様に, 顕著な強力の減少は認められない。
  • G. S. EGERTON, E. ATTLE, M. A. RATLOR, V. B. WIGGLESWORTH, P. J. KRAME ...
    1967 年 36 巻 5 号 p. 361-361,370
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    遠紫外線による織物繊維の光学的脆化
    細胞核の癒合と倍数性
    樹木の水分吸収に関するスベリン化した根とスベリン化しない根の比率の季節的変化
  • 小出 直人
    1967 年 36 巻 5 号 p. 362-366
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    ヘキサクロルスズ (IV) 酸アンモニウムをあらたに調製し, これの水溶液で絹布を処理した際の1, 2の物性変化について検討した。
    1) 絹布に対する吸収は塩化スズ (IV) の場合に似ており, 濃度別では30%溶液前後に吸収のピークがあらわれる。浴比は1: 250, 温度は常温が適する。
    2) 処理布の物性変化では, 吸収増加につれ引き裂き強度は低下し, 明らかに処理による絹質脆化の傷害がみられる。短時間処理ではこのような低下は起こらない。白度はわずかに低下し, 微黄色系の着色がみられる。また処理布には発水性があらわれ, 一方吸湿性はやや低くなる。
  • 小出 直人
    1967 年 36 巻 5 号 p. 367-370
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    ヘキサクロルスズ (IV) 酸カリウムをあらたに調製し, これの水溶液で絹布を処理した際の1, 2の物理的性状の変化について検討した。
    1) K塩の吸収はアンモニウム塩の場合より重量増加率からはやや高い。濃度別の吸収のピークはやはり30%前後に位し, 温度条件では常温処理がよく, 絹布処理をくり返すとるい積されて吸収量は増大する。
    2) 処理布はK塩吸収によってもやや硬さが付与されるが, 引き裂き強度はかなり低下する。またK塩処理によってもわずかな変色がみられ, 微紅色の着色が認められた。発水性の付与される程度はアンモニウム塩の場合に比べてやや高い。
  • 渡部 仁
    1967 年 36 巻 5 号 p. 371-380
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    細胞質多角体病, 核多角体病およびウイルス性軟化病の各ウイルスに感染した幼虫に3H-チミジンあるいは3H-ウリジンを注射し, ナートラジオグラフィーにより病気の進行に伴う中腸皮膜細胞のDNAならびにRNA合成能の変化を調べた。その結果, 各種ウイルスに感染した中腸の核酸合成のパターンについて次のような相違点のあることが認められた。
    1) 健康蚕の中腸では, ごく少数の新生細胞と新たに新生細胞から分化したと考えられる円筒細胞の核でのみDNA合成が行なわれる。RNA合成は円筒細胞や盃状細胞の核で行なわれ, 合成されたRNAはすみやかに細胞質に移行しほぼ均一に分布した。
    2) 細胞質多角体病蚕の中腸では, 感染初期に円筒細胞核の核小体 (仁) で多量のRNAが合成され, 大部分細線縁直下の細胞質の部位に移行した。病気が進行し, 多角体が形成されてもこのRNA合成のパターンは変らず, 合成されたRNAは多角体の周囲にも集積した。DNA合成は多角体形成が始まっても全く健康蚕の場合と同じであったが, 感染した円筒細胞の崩壊脱落に伴って新生細胞が盛んに分裂増殖を始めると, これらの細胞核でDNA合成が活発に行なわれた。
    3) 核多角体病蚕の中腸では多角体形成は行なわれなかったが, 円筒細胞や, 盃状細胞の核が肥大し, 染色質の凝集やring zoneの形成が認められた。これらの円筒細胞と盃状細胞の核ではDNA合成がきわめて活発に行なわれていたが, RNA合成は健康蚕の場合に比べやや盛んになるにすぎなかった。
    4) ウイルス性軟化病蚕の中腸では, 病気の進行に伴い円筒細胞核でDNA合成が行なわれ, RNA合成は円筒細胞核でも促進されたが, 主に盃状細胞の核で顕著であり, 核内で合成されたRNAはやがて胞の周囲の細胞質に集積された。
  • 渡部 仁, 有賀 久雄, 田中 茂男
    1967 年 36 巻 5 号 p. 381-387
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    カイコの中腸核多角体病の進行に伴う中腸皮膜の核酸合成の変動を, 放射性核酸前駆物質を用いたオートラジオグラフィーによって追究した。
    ウイルス感染初期の中腸皮膜では主に円筒細胞の核内の核小体 (仁) で, 健康蚕の場合に比べてきわめて多量のRNAが合成された。そのRNAの一部は細胞質へ移行したが, 大部分は核内にそのまま存在しているようであり, 病気が進行し核内に多角体が形成されると, その周囲に認められた。病蚕の中腸皮膜でのDNA合成は健康蚕と同じ頻度で, 少数の新生細胞の核で細胞分裂に伴って起こり, ウイルスの増殖それ自体によって特に宿主細胞のDNA合成が異常になることはなかった。
    以上の結果から中腸核多角体病蚕の中腸皮膜における核酸合成のパターンは, 従来明らかにされた細胞質多角体病の場合ときわめて類似していることが明らかになった。
  • 青木 襄児
    1967 年 36 巻 5 号 p. 388-394
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    硬化病菌が昆虫の体内で産生する物体で, 従来我国で円筒形胞子と呼ばれているhyphal bodyが, 繁殖器官的属性を持つものか, あるいは栄養器官的属性を持つものかを, 生理的機能の面から判定するため, 赤きょう病菌を使って検討した。
    炭素源としてブドウ糖を4, 2, 1, 0.5および0.25%ずつ, それぞれ加えた合成寒天培地によるスライド培養上で, 供試菌のhyphal bodyの形成およびその消長を, 菌糸や分生子柄の場合と比較して経時的に観察した。
    その結果, hyphal bodyは菌糸の発育と同様に, 糖濃度の高い場合ほど形成が盛んであるのに対し, 分生子柄では一時的ながらむしろ低濃度の方が盛んである。培地の糖の消費につれてhyphal bodyは消滅し, 分生子柄が増加してくる。hyphal bodyは菌糸の発育にともない「がいこつ」状あるいは「幽れい」状になって消滅する。
    以上の結果からして, hyphal bodyは繁殖器官よりも栄養器官的な属性を持つもので, また養分の一時的貯蔵器官とみなされる。
  • 小林 勝, 山口 定次郎, 吾妻 直
    1967 年 36 巻 5 号 p. 395-399
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    核型多角体病ウイルスの経口感染におけるカイコの発病機構を知るために, 幼虫時の成長過程の面から, ウイルス接種後の発病時期およびアラタ体のエーテル抽出物との関係について研究した。
    1. 3齢および4齢起蚕に核型多角体病ウイルスを接種すると多くの品種において, 高濃度接種の場合は次の眠期前後に多数発病し, 低濃度の場合は接種後の眠期および熟蚕期に間隔的に発病し, 食桑期間中は発病が抑制される傾向を示した。
    2. 中蚕期の食桑期中間にED50前後の濃度のウイルスを接種した場合には, 次の齢中に僅かに発病し, 多くは眠期あるいは熟蚕期前後にいたって発病した。
    3. 比較的感染抵抗性の高い一部の原種および交雑種ではウイルス接種直後の眠期に発病しないで, その後の眠期あるいは熟蚕期前後に現われる場合がみられた。
    4. ウイルス接種後のカイコの体腔に, 内分泌生理学的手法, 特に抽出法を用いたアラタ体のエーテル可溶成分を皮下注射したところ, 発病率を増す傾向がみられた。
  • 戸谷 和夫, 早坂 昭二
    1967 年 36 巻 5 号 p. 400-402
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    人工ふ化種のふ化が不良であったり, 全くふ化しなかった場合に, 果して浸酸したものかどうかが問題になることがある。これを簡便かつ適確に知る方法として, 卵殻の呈色反応による判別を試みたところ, 次のような結果が得られた。
    (1) 0.05%ニンヒドリン水溶液浸酸卵は青紫色, 無浸酸卵は赤紫色
    (2) 10%塩酸浸酸卵の卵殻は青色, 溶液は青紫色無浸酸卵の卵殻は無色, 溶液は淡青紫色
    (3) デラフィールドヘマトキシリン浸酸卵は淡赤紫色, 無浸酸卵は青紫色
    (4) ネスラー試薬浸酸卵は黄褐色, 無浸酸卵は淡黄褐色
  • 松田 基一, 松浦 雄二
    1967 年 36 巻 5 号 p. 403-408
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1. 本研究は桑葉粉末を含む人工飼料により家蚕 (Bombyx mori L.) をFlexible plastic isolator (以下アイソレーターという) を用い, 無菌下で飼育を行なった結果について述べられたものである。
    2. 用いた装置は最近実験動物の無菌飼育用に作られたものを, とくにこの目的のために次の2点を改良したものである。
    i) ステリルロックにも排気トラップを装備し殺菌に用いた過酢酸をすみやかに排除できるようにしたこと。
    ii) 専用の直結オートクレーブを開発し滅菌缶を使用しなくても良いこと。
    3.アイソレーター内部の殺菌には2%過酢酸溶液を噴霧して行ない, 同時に予め搬入してある飼育用具の殺菌も行なった。
    4. 蚕品種は (日122号×日124号) × (支115号×支124号) であって, 卵殺菌は孵化の18~24時間前に70%エチルアルコールと0.1%の昇汞水とで行ない, 綿栓付試験管内で孵化させた。
    5. 孵化後ただちに綿栓をゴム栓に無菌的にとりかえ, ステリルロツク内において2%過酢酸を噴霧し試験管の外壁の滅菌を行なってからアイソレーター中へ搬入した。
    6. 飼料の滅菌は滅菌缶と直結オートクレーブの両者を用いたが, 前者の場合には減圧可能なオートクレーブを使用した。殺菌条件は共に120℃30分であった。
    7. 飼育容器はシャーレを用い, 50頭を供試した。飼育方式は通常非無菌下において行なわれているような型式に従った。飼料の交換は稚蚕期には5日目毎に, 壮蚕期には2日に1度行なった。幼虫期間は29~35日であったが44頭上族し繭をつくった。繭成績ならびに産卵成績は概して従来の非無菌下飼育に比較して遜色がなかった。
    8.飼育蚕が無菌的であることをチオグリコレート培地を用いて確かめた。
  • 伊藤 智夫, 堀江 保宏, 渡辺 喜二郎
    1967 年 36 巻 5 号 p. 409-412
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    家蚕の無菌飼育をビニールアイソレーターを用いて行なった。これにより, 従来のガラス器具を用いる方法に比べ, 大量飼育が可能になった。また飼育結果も一応満足できるものであった。これらの結果から, 稚蚕期無菌飼育・壮蚕期人工飼料普通育という型式の実用性に関し考案を加えた。
  • 新倉 克己
    1967 年 36 巻 5 号 p. 413-416
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 岡部 融
    1967 年 36 巻 5 号 p. 417-421
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    3lの重油容器に屋根をつけ, 重油上に発火装置を装備した重油燃焼器をつくった。発火装置は, ポリエチレン製小瓶に5mln-ブタノールを納め, その外面に硫黄と塩素酸加里とビニール糊で作った発火剤0.5gを塗り, この発火剤に1/40の長さのニクロム線が接触するように固定したものを用いた。この重油燃焼器を桑園10aに30個あて配置し, ニクロム線間を導線で直列連結し100V電流で発火させ, 重油への点火率をしらべた。その結果90~100%の器内重油に点火できることがわかった。
  • 糸井 節美
    1967 年 36 巻 5 号 p. 422-426
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 高岸 秀次郎, 吉田 武彦, 黒瀬 邁, 吉田 宏之
    1967 年 36 巻 5 号 p. 427-432
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    桑における窒素の吸収利用
    植物のアミノ酸代謝
    桑葉中の遊離アミノ酸と蛋白との関係
    茶の含窒素成分とその代謝
  • 堀江 保宏, 林屋 慶三, 倉田 啓而, 松田 基一, 三好 健勝
    1967 年 36 巻 5 号 p. 433-440
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    家蚕の質的ならびに量的栄養要求について
    家蚕の摂食と成長に関与する諸物質
    家蚕の人工飼料無菌飼育の方法とウイルス病の誘発研究への応用
    人工飼料による家蚕飼育技術体系の確立
    家蚕の人工飼料実用化に関する諸問題
  • 塩崎 英樹, 後藤 四郎, 坂口 育三, 榎本 睦, 石橋 博, 堀江 新
    1967 年 36 巻 5 号 p. 440-448
    発行日: 1967/10/31
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    絹織物の防シワ加工
    絹糸の捲縮 (ウーリー化) 加工
    絹のスズ増量における諸問題
    放射線による絹へのグラフト重合
    グラフト重合による絹の改質
    絹織物の防燃加工の研究概要
  • 1967 年 36 巻 5 号 p. 450a
    発行日: 1967年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 36 巻 5 号 p. 450b
    発行日: 1967年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 36 巻 5 号 p. 450c
    発行日: 1967年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 36 巻 5 号 p. 450d
    発行日: 1967年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 36 巻 5 号 p. 450e
    発行日: 1967年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 1967 年 36 巻 5 号 p. 450f
    発行日: 1967年
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
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