日本蚕糸学雑誌
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69 巻, 4 号
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  • 劉 朝良, 梶浦 善太, 武井 隆三, 中垣 雅雄
    2000 年 69 巻 4 号 p. 251-260
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    柞蚕の卵巣を柞蚕雄蛹に移植した場合, 卵巣はほとんど発育しなかったため, 僅か数粒の卵が造られたにすぎなかった。その卵形と大きさは正常卵とほぼ同じであったが, 卵重は正常卵より約1.5~1.6mg軽かった。得られた卵のSDS-PAGEの結果, 柞蚕正常卵のビテリン (210kDa) よりやや大きな220kDaポリペプチドが多量検出された。しかし, イムノブロット分析の結果, そのタンパク質は柞蚕ビテリンとは異なるタンパク質であることが明らかになった。天蚕卵巣と柞蚕卵巣を相互移植した場合, どちらも卵巣が発育し, 卵が形成された。この卵の主要なタンパク質成分はビテリンであり, イムノブロット分析から宿主のビテロジェニンが取り込まれたことを明らかにした。その割合は対照区と比較して差異がほとんど認められなかった。
  • 魏 薇, 川北 弘, 佐藤 守
    2000 年 69 巻 4 号 p. 261-269
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    Direct PCRに引き続き行う nested PCRは, クワ体内に低密度で存在するクワ萎縮病ファイトプラズマ (MDP) を検出するのに非常に有効な手段であった。MDPはファイトプラズマのグループIに属するので, これを特異的に検出するプライマーセットを用いて nested PCRを行った。得られたPCR産物はRFLP解析によりグループIと確認した。多くの萎縮病株をもつX-fieldから採集した無病徴の葉においては direct PCRでは決してMDPを検出出来なかったが, いくつかの無病徴の葉においては nested PCRでのみ検出可能であった。さらに, X-fieldに近い無病徴株のみのA-fieldにおいても, いくつかの無病徴株で nested PCRによりMDPが検出出来た。また, これら無病徴葉のMDPの葉脈部位別分布も nested PCRにより明らかにした。さらに, 一部の葉脈において, MDPを電子顕微鏡でも確認した。以上のように, nested PCRにより圃場内のMDP潜伏感染クワ株を初めて検出することが出来た。
  • 山岸 潤也, 浅野 真一郎, 佐原 健, 飯塚 敏彦, 伴戸 久徳
    2000 年 69 巻 4 号 p. 271-276
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    PfDNVの構成タンパク質の発現にはmRNAの選択的スプライシングによる制御が必要であると考えらてれる。そこで本研究では, この機構の特徴を明らかにするために, PT-PCRとプライマーエクステンション法を組み合わせた方法を用いて, 種々の条件におけるスプライシングの解析を行った。その結果, 用いた培養細胞の種類によってスプライシングの選択性に違いが生じること, いずれの細胞を用いた場合でもウイルス非構造タンパク質の存在によりスプライシングが抑制されることが明らかとなった。これらのことから, PfDNVの選択的スプライシングに細胞因子が重要な働きをしていること, および, その制御にウイルス非構造タンパク質が抑制的に働く可能性が示唆された。
  • 加古 武
    2000 年 69 巻 4 号 p. 277-282
    発行日: 2000/08/31
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    バット染料を用いて, 柞蚕絹織物のキトサン処理による染着性, 色調への影響を検討した。バット染料によるキトサン処理織物の染着性は, 無処理織物より著しく大きく, キトサン付着率が大きいほど増加し, その比率はC. I. Solubilised Vat Blue 5 (アルカリ性法)<C. I. Solubilised Vat Blue 5 (酸性法)<C. I. Vat Red 41<C. I. Vat Blue 1<C. I. Vat Blue 6の順に大きくなる傾向がみられた。C. I. Solubilised Vat Blue 5では, キトサン処理によって, 染着性は酸性浴染法では増加するが, アルカリ性浴染法では減少, またはほとんど変化がなく, 亜硝酸塩法が重クロム酸塩法より大きかった。色調については, キトサン処理によって, C. I. Vat Blue 1, C. I. Vat Red 41, C. I. Vat Blue 6の染色物では, 一般に明度が低く, 彩度が高くなり, 色相も若干変化し, 色差がいずれも大きくなった。C. I. Solubilised Vat Blue 5の酸性浴染法では, 重クロム酸塩法, 亜硝酸塩法, いずれも色相はほとんど変化がなく, 明度, 彩度が低くなり, 色差も比較的小さかった。しかしアルカリ性浴染法では, 色相は重クロム酸塩法ではかなり変化するが明瞭な傾向がなく, 亜硝酸塩法ではほとんど変化がなかった。明度, 彩度は重クロム酸塩法, 亜硝酸塩法のいずれもほとんど変化がなく, 色差は小さい傾向がみられた。
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