1) 昭和22年9月關東地方を襲つた颱風に伴ふ洪水により桑園に運積された土壤に就てその性状を調査した。
2) 運積土の機械的組成は夫れが運積された場所によつて區々であり砂土より埴土に亘る多種類のものである。
3) 酸度及容水量: PH及全酸度の値は何れも微酸性の範圍内にあり, 運積土そのものゝ酸度は一般に考へられておる如く酸性の高いものではない容水量は運積土間に可成の範圍に數値の差を示すが普通の耕土に比較して特別の性質を示すものではない。
4) 化學的組成は運積土によつて非常に區々である。本邦内地耕土の平均含量と比較すると窒素分は稍ゝ多いものがあり燐酸と加里分は幾分少い樣である。概ね耕土に比して運積土が特に肥料養分に富むものとは云はれない。
5) 運積土の機械的並に化學的組織が運積土によつて多種多樣なのは運積される場所の地理的な條件例へば河川からの距離, 附近の地形, 地物により又河川の上流地帶の地質等の差異によつて影響される處が大きい爲である樣である。
6) 運積土の乾燥による窒素分の硫化促進の効果を考察した。
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