CSD-1系統はカイコ支137号 (
nsd-1/
nsd-1) に日137号 (+
nsd-1/+
nsd-1) の濃核病ウイルス1型 (DNV-1) 感受性遺伝子 (+
nsd-1) が所属する第21連関群を導入し, 継代, 維持している。このためCSD-1系統は, 第21連関群について, 日137号の染色体と支137号の染色体を一本ずつもつ
nsd-1/+の雌に, 支137号の雄を交配し, 蛾区内でDNV-1感受性個体 (
nsd-1/+) とDNV-1非感受性 (完全抵抗性) 個体 (
nsd-1/
nsd-1) が1:1で分離するようにしてある。本研究は, +
nsd-1遺伝子に連関しているランダム増幅多型DNA (RAPD) を利用し, CSD-1系統内よりDNV-1を接種することなく, 幼虫ならびに成虫のDNV-1感受性を診断する方法について検討した。PCRの鋳型となるゲノムDNAを, 幼虫の場合は切断した腹脚2本から, 成虫の場合は切断した脚2本から, それぞれ抽出し, 特定のプライマーを使用してPCRを行い, RAPDの有無を調べた。その結果, RAPDによる診断結果とDNV-1感染の有無が一致した。この方法により, ウイルスを使用することなくDNV-1感受性個体を検出し, その個体から次代を得ることが可能となった。
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