日本蚕糸学雑誌
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59 巻, 6 号
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  • 最近の研究を中心に
    川瀬 茂実
    1990 年 59 巻 6 号 p. 387-401
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 生体高分子素材の調整と構造解析に関する研究 第2報
    後藤 洋子, 塚田 益裕, 箕浦 憲彦
    1990 年 59 巻 6 号 p. 402-409
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    チオシアン酸リチウム溶液による絹糸フィブロイン繊維の溶解性を調べるとともに, 再生絹フィブロインの電気泳動, 赤外吸収スペクトル測定ならびに熱分析を行った。チオシアン酸リチウム溶液による絹糸フィブロインの溶解性は臭化リチウム溶液の場合よりも著しく良好であかった。再生絹フィブロインのアミノ酸組成は溶解時の温度と時間が変化しても差異が認められなった。再生絹フィブロインの電気泳動パターンの観察によると, 溶解条件が異なっても試料の中心的な分子量は2万ないしは3万~20万以上であり, 異なる溶解条件下においても電気泳動パ形態を取ターンには差異が現れなかった。赤外吸収スペクトル測定では, 試料はランダムコイル型の分子り分子形態的にも試料間の差異は認められなかった。示差走査熱量測定結果から, 苛酷な条件で溶解調製した試料の熱分解温度は低温測へと移行する傾向が確かめられた。
  • 重松 正矩
    1990 年 59 巻 6 号 p. 410-415
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    揚返用薬剤として, 保湿剤, アニオンノニオン活性剤, 市販の薬剤など25種類を使用して, 生糸の吸湿性, 保湿性および水分活性に対する挙動を究明し, 次の結果を得た。
    (1) 揚返しされた過乾状態の生糸に水分を補うには, かせ糸の水分調整室の関係湿度がおよそ90%ないと, 薬剤は吸湿作用を十分に発現できない。(2) ポリオキシエチレン (POE) オレイルモノエステル, 混合薬剤 (POEノニールフェニールエーテル60%, グリセリン40%, ニッサンパーソフトEKなどは優れた吸湿性を示した。(3) カーボワックス, ニッサンパーソフトEK, POEノニールフェニールエーテル, POEオレイルモノエステルなどは優れた保水性を示した。(4) プロピレングリコール以外の水分活性は0.45~0.60の価を示し, 生糸の貯蔵中に微生物の発生や機械的性質の低下する危険性がないことがわかった。
  • 加藤 義臣, 川井 範夫
    1990 年 59 巻 6 号 p. 416-420
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    カイコ幼虫の脂肪体小葉を繋ぎとめている帯状結合組織とその形態的性質を光学および電子顕微鏡によって調べた。個々の脂肪体小葉は互いにまたは他の組織に, 帯状の結合組織によって接着されていて, その位置を保持していた。この帯状結合組織は, 微細繊維を含む非細胞物質から成っていた。また, 脂肪体細胞はしばしば細胞質性の突起を伸ばし, そしてその突起内には多数の微小管が分布していた。これらの観察から非細胞性の微細繊維は微小管構造と共に, 結合組織に弾性を与えていることが示唆される。
  • 三浦 幹彦, 西岡 孝彦, 杉浦 彰俊, 嶋崎 昭典
    1990 年 59 巻 6 号 p. 421-428
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    蚕が繭の片側を吐糸する際の吐糸位置の移動を表すモデルとして二変量自己回帰モデルを考え, その妥当性に関して検討を加えた。その結果, 提案したモデルを用いれば, 任意の時点で, そこから少し先の吐糸位置は精度よく予測できることが知られた。また, 繭の長軸上の動きに対して自己回帰移動平均モデルをあてはめ, パラメータの推定値によって吐糸の特性を比較した。
  • ニット用絹撚糸の開発研究 IV
    加藤 弘
    1990 年 59 巻 6 号 p. 429-437
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    塩縮率および加工内容を異にする塩縮・分繊・樹脂加工糸について, 吸湿率, 比重, 強伸度曲線などの物理的性質について検討した。
    塩縮率8.8%, 17.6%, 27.9%の加工糸の吸湿率は, それぞれ10.5%, 11.5%, 11.9%であり, 原糸よりも135~2%ほど高い値であった。加工方法との関連では, 塩縮・分繊処理糸にエチレン尿素樹脂で表面樹脂化すると, 吸湿率は増大し, 反対に飽和吸湿率は低下した。比重測定および偏向顕微鏡下での複屈折干渉色からの結果からは, 塩縮に伴って結晶領域の破壊とその非晶化, および他の繊維よりも相当配列度が高い値を示すといわれる非晶部分の分子配列性が, 一層低下すると推察された。さらに, 強伸度曲線に関しては, 塩縮の上昇とともに切断強力とヤング率は低下し, 切断伸度は増大する物性変化を認めた。
    2.5KWキセノンランプで70時間照射した絹糸の強伸度, ヤング率はいずれも低下したけれども, エチレン尿素樹脂で樹脂化処理した加工糸においては, 未処理糸に比べて機械的性質の低下が小さかった。表面樹脂化が塩縮分繊処理糸の耐光性を向上させ得ることが知られた。
  • ニット用絹撚糸の開発研究V
    加藤 弘
    1990 年 59 巻 6 号 p. 438-442
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    塩縮・分繊・樹脂加工糸で女性用セーターを編成し, 一般消費者による着用試験を実施した。
    編み立てたセーターは, 編成中の張力によって縮んで, サイズが小さくなるようなことはなかった。1度も洗濯しない初期着用感は, “やや良い”で, 全体的な性能評価についても良好だった。
    5回洗濯後では, 塩縮率の大きい絹編地の場合に着丈方向の縮みが大きかったことを除き, 着用感は新品時と変わらないという評価が多かった。ところが, 5回洗濯後の検体に対する被験者の全体的評価は,「全体としては嫌い」,「今後は着用したくない」という感想もあった。
    本加工糸は絹特有の光沢が欠ける問題を持っている。塩縮率が増加するとともに, 光沢度のみならず明度や白度も低下した。しかしながら, 塩縮率を凡そ10%範囲内に抑えれば, 絹らしい光沢を十分に認識できる編地となることが視覚効果の判定によって確かめられた。さらに, 艶出剤処理も触・視感覚の両面に関して良好な光沢効果が得られた。
  • 中山 伸, 藤井 修平, 山本 良一
    1990 年 59 巻 6 号 p. 443-451
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    5齢カイコ (朝日×東海) の体液の性質について検討を行なった。カイコの体重は新鮮重量, 乾物重量とも発育にともない増加し, 虫体の含水率および体液の含水量は減少した。体液の比粘度は4日目から増加したが, pHはほぼ一定であった。これらのことから体液の高分子成分が発育にともなって変化することが示唆された。
    体液の高分子画分であるエタノール不溶性画分中の中性糖はマンノース, グルコース, ガラクトースであった。このうちマンノースの含量は発育にともない増加した。そこで糖の変化と関係の深い糖加水分解酵素について調べた。体液中にはα-マンノシダーゼ, β-ガラクトシダーゼ, α-グルコシダーゼの3種のグリコシダーゼが検出された。α-マンノシダーゼ活性は発育にともない急速に活性が減少した。マンノース含量との間に高い負の相関があった。また, マンノシダーゼ活性はカイコを合成幼若ホルモン, メトブレンで処理することによって高まった。以上の結果より, 含マンノース糖タンパク質とマンノシダーゼが発育において何らかの役割を持っていることが示唆される。
  • 林 玉清, 岩下 嘉光
    1990 年 59 巻 6 号 p. 452-460
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    BM-N培養細胞にカイコ核多角体病ウイルスを感染させ, その感染・増殖過程を光学及び電子顕微鏡で観察した。ウイルスは細胞表面に吸着し, エンドサイトーシスによって侵入した。27℃培養下において接種5時間目には大形化した仁が観察され, リボゾームRNA合成の昂進が推察された。10時間目にはウイルスのPAP陽性反応からウイルスタンパク質の初期合成が確認された。15時間目には肥大した核内に virogenic stroma が形成され, ヌクレオキャプシッドが無数産生されていた。20時間目にはヌクレオキャプシッドが ring zone に移行して発育膜に被
    覆され成熟粒子となった。しかし発育膜に被覆されないヌクレオキャプシッドは核膜出芽, または拡大した核膜孔を通過し形質膜出芽して培養液中に放出された。培養液中のウイルス量は接種72時間目で最高となった。
  • 永田 昌男, 小林 正彦
    1990 年 59 巻 6 号 p. 461-468
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕の貯蔵タンパク質SP-1 (幼虫型雌特異タンパク質) とSP-2 (アリルフォリン) は2齢から4齢の各摂食期に増加し, 眠期に減少する周期的な変化を示し, 齢とともに増加した。4眠期においてみると, 増加は盛食期に, 減少は眠後期に著しかった。一方, 脂肪体中の濃度には眠期の上昇が観察された。血液中の貯蔵タンパク質濃度は絶食させると増加が止ったが, 絶食期間中に大きな変イヒはなく, 再摂食とともに増加した。絶食-再摂食させた幼虫は対照より遅れて脱皮するが, その際に貯蔵タンパク質は減少した。20-OH-ecdyson6によって早熟脱皮を導くと, 低い貯蔵タンパク質濃度のままで脱皮時の減少々示した。以上のことから, 血液貯蔵タンパク質濃度の摂食期の増加は摂食活動と密接に関係し, 一方脱皮時の減少は眠期中の絶食状態によるものではなく, 発育過程と結びついた事象と考察した。
  • 永田 昌男, 小林 淳
    1990 年 59 巻 6 号 p. 469-474
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    人工飼料中のタンパク質と糖の含量が家蚕血液中の貯蔵タンパク質SP-1 (幼虫型雌特異タンパク質) とSP-2 (アリルフォリン) 濃度に与える影響を4齢期において調査した。
    4齢起蚕よりタンパク質, 糖含量の異なる飼料を与え, 2日後に調べると, 高タンパク質飼料の血液では高い貯蔵タンパク質濃度を示し, 低タンパク質飼料では低い濃度となった。一方, 糖含量の影響はみられなかった。5齢起蚕時においては, 飼料タンパク質量の影響はより強く現れ, さらに糖量の増減も貯蔵タンパク質濃度の高低をもたらした。1齢期より異なる飼料で飼育し, 4齢2日で調べると, 飼料タンパク質含量の影響は強く, とくに低タンパク質飼料で飼育した場合には, 著しく低い貯蔵蛋白質濃度となった。以上のことから, 血液貯蔵タンパク質濃度には栄養条件が強く影響することが明らかになった。
  • 奈倉 正宣, 柊 弓紘, 梶原 莞爾, 塚田 益裕
    1990 年 59 巻 6 号 p. 475-479
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕絹糸腺内液状絹フィブロインの乾燥過程における構造形成過程と絹フィブロインの希薄溶液中での分子形態を小角X線散乱を用いて検討した。
    絹糸腺内液状絹フィブロインの乾燥による構造形成過程は, silk I型結晶が形成されるとされている乾燥温度22℃では, ドメイン構造が乾燥時の初期過程で形成され, このドメインの中心間距離は約130Åであった。一方, 結晶化は水分率約65wt%となると急激に進行し, この際, 相関関数がより明瞭になることが明らかとなった。silk II型結晶の形成される温度においても, 乾燥によるドメイン形成と結晶化, および相関関数の明瞭化の現象は silk I型結晶の形成と基本的には等しいことがわかった。
    希薄溶液中の絹フィブロインの分子形態は, 厚さ約8-14Å, 回転半径約30Åの円板型であることを明らかにし, 親水性基を含むペプチド鎖が, 疎水性ペプチド鎖をサンドイッチ状にはさむことにより水への溶解を容易にしていると考えた。
  • 金勝 廉介, 北川 理恵, 井桁 潔
    1990 年 59 巻 6 号 p. 480-486
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    消化管組織における糖質の消化過程を知る一助として, 囲食膜に存在する各種少糖分解酵素について, その性状や活性を調査した。
    1. 囲食膜のスクラーゼの至適pHは8.3~8.6の範囲の弱アルカリ性であり, その最大活性を与える基質濃度は, 約40mMであった。
    2. 囲食膜のスクラーゼ活性は, 中腸組織スクラーゼ活性の変化と類似した様式で変化し, 5令起蚕から上昇し6日目でピークに達した後, 減少した。5令6日目に観察される最大活性は一個体当り約2.4×10-2Uであった。
    3. 囲食膜の各部位のスクラーゼ活性は, 組織最前部にも存在し, 囲食膜前部に膜全体の65%が集中した。同様の傾向は中腸組織のスクラーゼの存在が後部のみに限定される大草×乞食の場合にも見られた。
    4. スクラーゼ以外の各種少糖分解酵素活性も, 囲食膜全体に認められた。
    以上より囲食膜のスクラーゼおよび各種の少糖分解酵素の起源についての考察を行った。
  • 馬場 富二夫, 浅野 眞一郎, 飯塚 敏彦
    1990 年 59 巻 6 号 p. 487-489
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 平出 真一郎
    1990 年 59 巻 6 号 p. 490-491
    発行日: 1990/12/27
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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