塩縮率および加工内容を異にする塩縮・分繊・樹脂加工糸について, 吸湿率, 比重, 強伸度曲線などの物理的性質について検討した。
塩縮率8.8%, 17.6%, 27.9%の加工糸の吸湿率は, それぞれ10.5%, 11.5%, 11.9%であり, 原糸よりも135~2%ほど高い値であった。加工方法との関連では, 塩縮・分繊処理糸にエチレン尿素樹脂で表面樹脂化すると, 吸湿率は増大し, 反対に飽和吸湿率は低下した。比重測定および偏向顕微鏡下での複屈折干渉色からの結果からは, 塩縮に伴って結晶領域の破壊とその非晶化, および他の繊維よりも相当配列度が高い値を示すといわれる非晶部分の分子配列性が, 一層低下すると推察された。さらに, 強伸度曲線に関しては, 塩縮の上昇とともに切断強力とヤング率は低下し, 切断伸度は増大する物性変化を認めた。
2.5KWキセノンランプで70時間照射した絹糸の強伸度, ヤング率はいずれも低下したけれども, エチレン尿素樹脂で樹脂化処理した加工糸においては, 未処理糸に比べて機械的性質の低下が小さかった。表面樹脂化が塩縮分繊処理糸の耐光性を向上させ得ることが知られた。
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