日本蚕糸学雑誌
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37 巻, 6 号
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  • 勝又 藤夫
    1968 年 37 巻 6 号 p. 453-461
    発行日: 1968/12/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    インドネシア多化蚕 (Sl) と日本二化蚕 (JB) との交雑試験に於て次の如き結果を得た。
    (1) インドネシア多化蚕 (Sl) の卵を低温催青し, それより生じた蛾は不着色不休眠卵を産む。併し此の卵を熱帯の普通状態で催青すれば, それより生じた蛾は着色不休眠卵を産む。日本二化蚕は熱帯の普通状態で催青すれば着色休眠卵を産む。
    (2) インドネシア多化蚕 (Sl) と日本二化蚕 (JB) の卵を熱帯の普通状態で催青し, その両者の交雑種F1を作れば, 交雑型式の正逆に関係なく, 着色休眠卵が産下される。
    (3) 上述の交雑種で化性の分離はF2卵に現われる。即ち各蛾区内の卵の約25%は着色不休眠卵で, 残りの75%は着色休眠卵である。
    (4) F2の着色不休眠卵より生じた蚕は熱帯の普通状態で催青飼育されて着色不休眠卵を産む。此のことは原種Slの場合と同様である。
    (5) F2の着色休眠卵より生じた蛾の産む卵は二種類 (A群及びB群) の蛾区に分けられる。A群の各蛾区は着色不休眠卵25%と着色休眠卵75%とを含む。此の比はF2卵の場合と同様である。B群の各蛾区は着色休眠卵のみを含む。
    (6) F1蚕とSl原種との戻し交雑の場合次代卵の化性の分離比は1:1である。
    (7) 以上の実験結果からインドネシア多化蚕 (Sl) と日本二化蚕 (JB) との交雑種の遺伝はメンデル遺伝の単因子雑種の型式に従うと云える。
    (8) 此の実験に於ては, 従来家蚕の交雑種の場合に一般に認められた化性の母親遺伝現象は認められなかつた。
  • (II) 多角体形成におよぼす飼育温度の影響
    山口 邦友
    1968 年 37 巻 6 号 p. 462-470
    発行日: 1968/12/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    家蚕の種々の令の幼虫に中腸核多角体病ウイルスを経口接種して後, それぞれ18℃, 25℃, 30℃ならびに35℃で飼育し, 多角体の形成状態を観察した。
    病勢の進行は接種後の飼育温度によつて異なり, 30℃区, 25℃区では発病が早く, 18℃区, 35℃区では発病がおくれ病蚕の発生も不斉一であった。
    多角体の形状は18℃区, 25℃区では正常な外観4角形の大形多角体が形成されたが, 30℃区においては正常な多角体の形成は少なく, 多様の不正形多角体が中腸の円筒細胞の核内に形成された。35℃区においては多角体形成はほとんど認められなかつた。不正形多角体は中腸の円筒細胞の同一核内に形成されているものでも, 大きさは斉一でなく形も多様で, 球形, 俵形, 紡錘形, 曲玉形, 小点状などを呈し, 内側には空洞のみられることが多かった。
    不正形多角体の形成されていると思おれる病蚕を, 25℃に移して数時間おきに調べたところ, 不正形多角体は正常多角体に変ることが認められた。不正形多角体の染色性は正常多角体とほぼ等しく, 60℃の1N HClによる前処理で, ブロムフェノールブルー, オレンヂG, フクシン, フロキシン, メチルオレンヂ, エオシン, アニリンレッドおよびハイデンハインの鉄ヘマトキシリン等に好染した。また5%醋酸による前処理でアゾカーミンによく染まった。
    接種時の温度, 接種前後の絶食または低温処理が, 多角体の形成状態に影響をおよぼす現象は認められず, ウイルス増殖および封入体形成時の温度が, 多角体の形成あるいは形状に特異的な影響をおよぼすことを知った。
  • 石川 義文, 宮島 成寿
    1968 年 37 巻 6 号 p. 471-476
    発行日: 1968/12/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    伝染性軟化病ウイルス (以下ウイルスと略) と軟化病蚕から分離した Streptococcus および Serratia の2種の細菌を用いて, ウイルスと2種細菌を種種の条件で組合せて蚕児に接種し, 軟化病の発生状況につき調べた。得られた結果は次のとおりである。
    1) ウイルスと2種細菌のそれぞれを混合してから蟻蚕に接種すると, ウイルス単独接種区に比べて軟化病発生率の増加, 潜伏期間の短縮などの現象が認められた。
    2) 蟻蚕にウイルスを接種する前後に上記の細菌を接種した区では, ウイルス単独接種区に比べて軟化病発生率が高くなる現象が認められた。
    3) このような現象は, 熱処理によって死滅した細菌 (特に Serratia 菌) を用いた場合では認められなかった。
    4) なおこれら細菌の単独接種区では軟化病の発生は認められなかった。
  • (I) 無菌飼育蚕にたいする2種の分離株の病原効果
    児玉 礼次郎, 中筋 祐五郎
    1968 年 37 巻 6 号 p. 477-482
    発行日: 1968/12/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    人工飼料で無菌的に飼育した5令健蚕を用いて, 蚕から分離した2種の細菌, すなわちE-5株およびE-15株の添食法による病原効果をしらべた。その結果:
    (1) いずれの菌株の添食によっても死亡蚕発生率は100%に達したが, 発現する病徴は細菌の種類によって異なっていた。E-5株添食の場合には蚕は下痢を伴なって縮小し, E-15株添食の場合にはその添食後も発育を続けはするが, 数日後大部分が卒倒的に死亡した。
    (2) E-5株とE-15株とを同時に混合添食をしたときには, 各菌株を単独に添食したときよりも死亡に至るまでの日数が短縮し, これら2種の細菌の間に相乗的な病原効果が見られた。
    (3) E-5株の増殖pH上限値はE-15株のそれにくらべて比較的高い。
  • 松崎 守夫
    1968 年 37 巻 6 号 p. 483-490
    発行日: 1968/12/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    1. 家蚕卵の卵殻の形成機構について, 超薄切片法による電子顕微鏡観察を行なった。
    2. 卵殻の断面構造は, 形成機構からみて海綿状構造をなす約1μの厚さの内層, 30~35の木目状または波状の層構造をなす10~12μの中層, および25~30の層状構造をなす約4μの外層との基本的な3層からなる。
    3. 内層は, 包卵細胞内のリボゾームなどの微小顆粒や分泌顆粒の堆積によってつくられる。
    4. 中層は, 包卵細胞のゴルジ域に出現する分泌顆粒が前躯物質で, これが内層の外側に約15mμの直径の繊維状構造物として並び, その規則的な層状堆積によってつくられる。
    5. 外層の前躯物質の分泌形態は中層のように鮮明ではなく, その化学的性質も中層と異なる。
    6. 卵殻外面の印刻は, 外層部形成開始当初から徐々につくられる。
    7. 卵殻各層が形成されたあと, 包卵細胞は卵殻外面から剥離し急速に退行する。
  • 渡辺 静夫
    1968 年 37 巻 6 号 p. 491-497
    発行日: 1968/12/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    干渉位相差顕微鏡により微粒子原虫胞子を観察すると, 胞子とバックまたは夾雑物との干渉色に著るしい差があり, その大きさ, 形状から一層明確に胞子の判別ができる。とくに胞子を拡大観察すると, 一層明瞭な色彩の変化を示して, その中央部に特殊な内容物質の存在が推定される。微粒子原虫胞子の鑑別は analyser 45℃, polarizer 120°の鋭敏色付近か, analyser 45℃, polarizer 130℃の青色領域で行なうのが最も適当と思われる。単色光による観察では, バックと胞子の位相差は73.4mμを示し, 胞子は夾雑物に比べて約26.4mμの位相差を有することが推定された。微粒子原虫胞子と蚕の硬化病菌分生胞子, トウモロコシ花粉粒子などの類似物とは, 両者の干渉色の差と形状, 大きさの相違によって大体鑑別可能であるが, 両者を拡大観察すると胞子の内容物の推定によって一層明瞭に判別できる。干渉位相差顕微鏡によって母蛾検査を行なうときは, 普通顕微鏡の場合に比べて視野が著るしく鮮明でカラーコントラストがはっきりして, 胞子の判定が明確となりその検出率を著るしく向上させることなどが確認された。
  • 1968 年 37 巻 6 号 p. 498-503
    発行日: 1968/12/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 37 巻 6 号 p. 504
    発行日: 1968/12/30
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
    蚊 (Aedes aegypti L.) の幼虫および成虫のDDT抵抗性の遺伝
  • 1968 年 37 巻 6 号 p. 507a
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 37 巻 6 号 p. 507b
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/07/01
    ジャーナル フリー
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