人工飼料育による原蚕への脱皮ホルモン投与が吐糸営繭並びに産卵性に及ぼす影響について検討した。
20-OH-ecdysone 投与の吐糸営繭, 蛹化に及ぼす影響は, 5齢3日目投与, 4日目上蔟以降から有効である。無投与区も投与区と同じ日に上蔟させ, 繭重 (蛹体重), 繭層重について比較した結果, 投与区は無投与区に比べ繭重は重くなったが, 繭層重は軽くなった。蛹期間, 蛹化率, 羽化率, 正常産卵蛾歩合, 受精率等にも両者間に差異がなく, また, 越年卵の孵化歩合にも差がなかった。産卵数は投与区, 無投与区とも5齢の中期上蔟から最終上蔟日まで, 発育経過に比例して多くなった。20-OH-ecdysone 投与により繭形が若干変化した。また, 投与蚕の食下量は5齢3日目までは増加したが4日目以降は減少し, 投与蚕は無投与蚕に比べ食下量が少なかった。投与濃度は, 5ppmでも有効であった。
抄録全体を表示