日本蚕糸学雑誌
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25 巻, 5 号
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  • 橋本 弘儀
    1956 年 25 巻 5 号 p. 313-316
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    定繊度繰糸における繭粒付数を確率論的立場から考察し, 繭糸の平均繊度, 綜合繊度偏差および細限繊度点を知ることによつて, 繭粒付数が所要の値になる確率を理論的に求めることが出来ることを示した。
    また実験結果を示してこの理論が実際にどの程度適合するかを検討した。なおこの理論を適用する場合は, 繭糸の綜合繊度偏差の算出に特に留意すべきことを述べ, さらに応用面について若干考察してみた。
  • (II) 卵の呼吸に及ぼす酸素分圧と一酸化炭素の影響
    入戸野 康彦, 中曽根 正一
    1956 年 25 巻 5 号 p. 317-321
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    (1) 家蚕の卵の呼吸に及ぼす酸素分圧とCOの影響について調べた。WARBURGの検圧計によつて酸素消費量を測定して呼吸量をあらわした。
    (2) 休眠中の卵の呼吸は酸素分圧の高低によつて大きく左右されたが休眠を脱するとその影響は減じ催青を開始すると更にそれが小さくなり, 孵化した毛蚕に於ては1-99%の酸素分圧の範囲内ではその影響が全く認められなかつた。
    (3) 休眠中の卵の呼吸はCOの阻害を全く受けなかつたが催青中の卵ではCOによる呼吸阻害が認められ催青のはじめの時期よりもおわりの時期の方が阻害が著しかつた。この阻害の程度は光線の有無によつて左右され, 催青6日目の生種では暗所に於ける阻害が相当顕著であつたのに明所では僅かであつた。しかし催青10日目に於ては明所でも相当著しい阻害が認められた。
    (4) 以上の成績及び他の証拠にもとづき, 家蚕の卵の呼吸に於ては休眠中はフラボプロテイン系酵素が, 催青中はチトクローム酸化酵素が夫々主なterminal oxidase として働いているのではないかと考えた。
    (5) 孵化して毛蚕になると酸素分圧の影響が著しく小さくなるのは気管系によつて体の深都の組織にまで直接酸素が運ばれるようになつて酸素の利用が容易になつたことと, 呼吸の大部分が低い酸素分圧に耐え得るチトクローム系酵素によつて仲介されるようになつたことによるのではないかと考えられる。
  • 卵管の蠕動とCaイオン
    川瀬 茂美
    1956 年 25 巻 5 号 p. 322-326
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1) 家蚕蛾の血液中に存在する蠕動誘発物質がCa**それ自身であるかどうかを知るために, 蛾の血液を含む食塩水に蓚酸アンモニウムを添加してCa**を沈澱させた場合の蠕動作用を調査したところ, 蠕動は弱まるか停止した。このことは, 血液中の蠕動誘発物質がCa**そのものである可能性が強いことを示している。
    2) さらに, この物質がCa**であることを確証するために, 血液中のCaとMgの定量を行なつた。そしてこの血液に存在するCa**とMg**の量と同じ組成の溶液を作り, 卵管に対する蠕動作用をみた結果, 血液の蠕動誘発力と同程度か或いはそれ以上の作用力を示した。このことは, 上記の1) と考え合せて, 血液の蠕動誘発力がその中に含まれるCa**によるものであることを示していると考えられる。
    3) 処女液と産卵中の蛾の血液中のCa, Mg量を測定してみたが, 両者の間にはつきりした差異は見出し得なかつた。また処女蛾と産卵中の蛾の血液の卵管蠕動力には, はつきりした差異はみられなかつた。
    4) 産卵誘発現象, 筋肉運動とイオン影響等について若干の考察を行なつた。
  • (IV) 数種の内皮色素の組織学的観察
    川瀬 茂実
    1956 年 25 巻 5 号 p. 327-332
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    家蚕幼虫の数種の内皮色素の組織学的な調査を行い, 併せてそれら色素間の分布, 共存関係等について調べた。
    1) 形蚕 (+p) 等の眼状紋部にみられる赤色色素は, 大さ0.1-0.3μ の色素粒として真皮細胞の上辺 (外皮側) にのみ分布する。
    2) 黒縞 (ps), 虎蚕 (Ze) 等に出現する気門上線白条部, 腹脚基部の赤色色素も, 眼状紋部のそれと等しく0.1-0.3μ で真皮細胞の上辺に分布する。
    3)「かすり」(+pq) の赤色色素は, 真皮細胞の基底部に0.2-0.6の暗赤色の粒状顆粒として分布する。
    4) 黄体色蚕 (lem) の黄色色素はxanthopterin-Bであるが, これは極めて微細な色素粒として真皮細胞の上辺に濃厚に分布し, 基底部には少ない。また黄体色蚕の眼状紋部に出現する赤色色素と黄色色素との関係は, 最上辺に赤色色素が, 次に黄色色素が分布し比較的判然と分布の域を異にする。
    5) 日1号, 日122号の眼状紋部の赤色色素部には, 真皮細胞の上辺に赤色色素のみが分布し, 他の部分に存在する赤体色色素 (基底部に存在する) はこの部分には存在しない。つまり両色素は同一細胞には共存しない。
  • 桑樹の性に関する研究, 桑樹の性の易変性と部分的分性について
    南沢 吉三郎
    1956 年 25 巻 5 号 p. 332
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • (III) 家蚕「赤々赤」皮膚の赤色性について
    渡部 仁, 荒武 義信
    1956 年 25 巻 5 号 p. 333-337
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    「赤々赤」と支122号及び日122号を交雑し, その交雑F2及び戻し交雑に分離した個体について体液及び皮膚の赤色性を調査した結果, 「赤々赤」皮膚の赤色性は体液の3・ハイドロオキシキヌレニンの生産に関係するrb遺伝子の働によるものであることが明らかになつた。更に皮膚の移植実験から, 赤色色素形成は先ずrb遺伝子が働いて体液中に多量の3・ハイドロオキシキヌレニンが蓄積され, その1部が赤色色素の色素原として皮膚組織に移行する結果であると考えた。
    「赤々赤」と正常蚕の交雑F2, 或いは戻し交雑に分離したrb個体には皮膚の赤色性にかなりの変異が見られるので, この変異が如何なるfactorsによつてもたらされるかを調査し, rb個体の皮膚の赤色性に関係する基本的なfactorとしてf0を, また赤色程度に変異をもたらすfactorsとしてf1, f2及びf3を推定した。(f0) 体液の3・ハイドロオキシキヌレニンの生産に関係するもの。(f1) 体液から皮膚に移行した3・ハイドロオキシキヌレニンの真皮細胞に於ける存在量の多少を規定するもの。(f2) 皮膚のチロシナーゼ作用力に関係するもの。(f3) 皮膚のチロシン存在量に関係するもの。
    「赤々赤」皮膚の赤色性はこれらのfactorsが赤色色素形成に関し, 最適に働らいた場合と考えられる。
  • 梅谷 与七郎, 浅野 清志
    1956 年 25 巻 5 号 p. 338-340
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    1.支110号より発見したLk蚕は優性の突変種で体躯細長く正常蚕と同じく強健であるが少ホモは早期死卵となる。
    2. Lk蚕の発現は1眠期と1・2眠期にわたつて現われる場合があるが, それらを別々に採種して次代を飼育しても両者の発現の割合に大差がないとところを見ると両者の発現の差異は単に飼育条件によるものらしく決して遺伝的の相違によるものではないと思われる。
    3, 両者に飼育経過を見ると2-3齢において1日間, 5齢に2日間おくれ全齢において3日間の遅延をきたすがその割合に虫質は強健である。繭質は正常蚕に劣る。
  • 小林 勝利
    1956 年 25 巻 5 号 p. 341-343
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    The author has performed experiments on the effect of brain for spreading of the wings in Bombyx silkworm moth, using F1-hybrids between a Chinese bivoltine and a Japanese bivoltine races as the specimen. The results obtained are summarised as follows:
    1. Wings of the male pupa obtained from the caterpillar which was ligatured at the level between the head and the prothoracic segment at the spinning stage of the 5th instar, are shorter than those of the unoperated control, covering only a part of the area on the ventral side which is to be covered by wings in control. The uncoverd wing area is white in color and become hollow with age of the pupa (Fig. 1).
    2. Brainectomizing operation was experimented on the two day pupa. Each of four wings of the moth emerged from the operated pupa was shorter in length than that of the control which had been wounded but not brainectomized. The antenna and the body, on the contrary, of the operated moth were almost the same in length as those of the control, respectively (Table 1).
    3. Wings of the moth which was brainectomized and soon after that reimplanted with a fresh brain into the head were almost the same in length as those of the moth which was brainectomized but not reimplanted with any brain, being shorter than those of the unoperated control. This fact seems to suggest that some nervous communication with brain must be a necessary factor for spreading the wings in the moth.
    4. The brainectoinized moth and the unoperated control are almost the same as to the weight of each of their wings, showing that the wing develops after cutting the nervous communication in the vicinity of the brain (Table 2).
  • 有本 肇
    1956 年 25 巻 5 号 p. 344-346
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    The testing apparatus is shown in Fig. 2
    The tester is composed of two parts A and B (cf. Fig. 1). The test piece (S) is placed between A and B, and fixed with a union-nut.
    The operation of aspirator decreases the air pressure in the filtering flask, and sucks water or other fluid through the test piece fixed in the tester.
    The “filtering qualities ” of fluid is determinded by measuring quantities of fluid filtered through sample in a definite time at constant pressure.
  • 有本 肇
    1956 年 25 巻 5 号 p. 347-351
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    The testing method was explained in the last report.8)
    Even if the species, the sex and the part of cocoon shell are the same, the quantities of fluid filtered through the sample widely varies and it seems that the thickness of cocoon layers has no bearing on the quantities of the filtered fluid.
    It follows that the structure of the cocoon shell is not uniform, and the “filtering qualities” are considerably influenced by the meshes of cocoon threads and the adhesion of the sericine.
  • (IV) 繭糸上の落緒確率
    嶋崎 昭典
    1956 年 25 巻 5 号 p. 352-356
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    一般に使用されている煮繭各区の温度, 時間ならびに繰糸湯温度を因子にとり計画された要因実験の綜合結果から, 繭糸各部位の落緒確率を考察し次のことを知つた。
    1.繭糸部位別の落緒確率の変化は原料によりそれぞれ特徴ある形態を示すが, その型は大略L, U, Jの3種に分類された。
    2.同一の要因実験を各原料毎に実施して新繭緒糸量, 蛹襯量の変化を考察した結果, 最外層落緒の多い原料は新繭緒糸少なく, また最内層落緒が多い原料は蛹襯量の多い傾向を認めた。
    3.これは繭層の膠着抵抗が原料によつて異なることが大きい原因と考えたが, それと共に最外, 内層部分繭糸の除去に伴う分布型の変動性の影響もまた大きいと考えた。
    4.以上のこと, 分布型相互の共有性からして, 繭糸上の落緒確率を示す分布型は本質的にはU字型を示すと考えた。
    5.繭糸内各部分の落緒生起の状態は一様に等しいこと仮定して1粒に生じる落緒数がPoissno分布に従うことを導いたが, これは前項の結果から満足されない。しかし原料毎に固有の分布が存在するという仮定におきかえても, Poisson分布の導かれることを確めた。
    6.しかし実質的には, 落緒が処理あるいは操作らの影響を鋭敏にうけやすい最外, 内層において落緒確率の多い特性を示すことは, その事象が稀現象であること相俟つて実験結果の客観性を乱し, 更に1粒の落緒回数の性質をPoisson分布型から一般Poisson型え変化させる主要な要因をなしていると考えられた。このことはまた最外, 内層落緒の規定ならびにその管理を厳しくすることが実験結果の客観性を保つた上に必須の事柄であることを示すものと解釈することができる。
  • 西 寿巳
    1956 年 25 巻 5 号 p. 357-360
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • 西 寿巳
    1956 年 25 巻 5 号 p. 361-364
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
  • T. ABE, M. KONO, A. N. CLEMENTS, V. B. WIGGLESWORTH, K. K. NAYAR, 藤田 正 ...
    1956 年 25 巻 5 号 p. 365-367
    発行日: 1956/10/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    茶樹の白紋羽病に関する研究II病原性と接種条件との関係並びに酸素不足状態における菌糸の発育に就て
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    煮繭法
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