1) 単式冷蔵期間が長期に渉つた場合の孵化状態を観察し, 不孵化卵の解剖を行い, 胚子の致死階程を調査した.
2) 孵化歩合は7月, 8月, 9月, 10月までと冷蔵期間が長期に渉るに従つて激減し, 10月, には支115号の1%を除いて他品種は殆んど或は全く孵化しない. 又, 冷蔵期間が長くなる程催青死卵が減つて潰死卵が多くなつた.
3) 7月に出庫催青した旭光, 支115号, 雪花, 万華の4品種の不孵化卵を剖検したところ大部分の胚子が点青期以後まで発育し, しかも, 不反転の畸形胚子を多数見出した.
4) 支115号の蚕種を7~10月の各月に出庫催青した場合に生じた不孵化卵を剖検し, 胚子の致死階程を調査したが, 大部分は剛毛発生前期から催青期まで発育していた.
不反転の畸形胚子は7月出庫で11%, 8月出庫で43%, 9月出庫で68%と漸増し, 10月出庫では86%の多きに達した. 畸形の程度にも蟻蚕体を完成しながらたゞ反転し得ない軽度のものから甚だしい異常を呈する強度のものまでがあり, 冷蔵日数が長い即ち出庫の遅れる場合程畸形の程度も著しく, 10月出庫の不孵化卵には第10体節以後が強度に異常を呈した胚子が多く見られた.
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