1) 紫紋羽病に罹つた桑の根を温湯に浸漬した場合, 病根組織内の菌糸は, 根の直径が2~8mmの範囲内では, 根の太さとは関係なく, 45℃, 20~30分間の浸漬で完全に死滅した。
2) 直径が1mm以下から7mmまでの罹病根をもつ桑苗の根部を, 45°及び42℃の温湯で夫々20及び30分間処理した後畑地に植栽した場合, 2年7カ月間の観察では, 被害部の拡大は全然認められず桑は完全な成育を遂げた。この際1%硫酸銅液, 0.1%昇汞水及び20%石灰乳で1及び2時間処理して植栽したものにおいては, 新らしい菌糸束の発達を観, 大多数の桑株は病勢が昂進して消毒の効果は殆んど認められなかつた。
3) 健全な桑苗の根を45°及び48℃の温湯に30及び60分間浸漬してから植栽した場合, その後における桑の発育は無処理のものと何等変るところがなく, 紫紋羽病消毒の目的で行う桑苗の温湯処理は桑の発育に惡影響を及ぼさないものと考えられる。
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