アゾ基に対してo, o′-位に水酸基を有するモノアゾ染料であるクロムバイオレット (CV) と絹との結合に及ぼす2価の金属イオン添加の影響を調べた。Co
2+の添加はCVの結合を著しく高める。それに対して, Zn
2+は絹に対するCVの親和力にほとんど影響を与えない。Cu
2+の添加はpH 4およびpH 5においては結合にほとんど影響しないが, pH 6ではいくらか結合を高める。さらに, 添加金属イオンの作用機構を調べるために, コバルトおよびクロムとCVの錯塩染料を合成し, それらの錯塩染料の絹に対する結合性をCo
2+およびCu
2+の存在下におけるCVのそれと比較した。そして, Co
2+およびCu
2+の添加によるCVの結合の増大について推定される機構を示した。
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