Foex(1955)とMorin(1959)が発見したV
2O
3, VO
2の金属-非金属転移は, Mottの予測したいわゆるMott転移の一環として, この10年余り固体物性の一つの中心課題となってきた. 最近ベル電話研究所のグループは, CrやTiをドープしたV
2O
3に, 正真正銘のMott転移があると発表して, なお一層の関心と論争を沸きおこしている. さて V
2O
3とVO
2の組成の間にはV
nO
2n-1(n=3~9)で表われるマグネリ相とよばれる特異な組成と構造をもった一連の化合物があるが, これらは金属-非金属転移を示したり, 極低温まで金属的でしかも反強磁性であったりする奇妙な性質を示す. この解説は著者らの実験的研究を中心にし, V
2O
3, VO
2の転移を含めて総説的に解説するのが目的である.
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