米国,国立ブルックヘブン研究所のE787実験では,K
+中問子の非常に稀な崩壊K
+→π
+νν^^-を,実験に改良を加えながら長年にわたり探索してきた.そして最近,その崩壊の候補を一事象観測するのに成功した.この過程は,クォークの世代が変化する中性カレント現象(電弱相互作用の高次過程)であり,標準理論では強く抑制される.しかしながら,理論計算の不定性が小さいために,分岐比の測定によって標準理論の重要なパラメーターである小林-益川行列要素|V
td|を精度よく決めることができる.本解説ではこの稀崩壊過程の物理的な背景,いかにしてこの極々小さい分岐比の崩壊現象を確認することができたか,そしてそこに至るまでの特異な測定及び解析の方法について解説する.
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