最近の弦理論の発展の中で重要な役割を果たしている「双対性」というキーワードがある.これは,ある現象に対して全く異なる二つの見方ができることを意味する.これまでにいくつかのタイプの双対性が発見されているが,1997年にMaldacenaによって発見された「AdS/CFT双対性」(あるいはAdS/CFT対応)は弦理論(あるいは重力理論)とゲージ理論との間の等価性を示すものであり,ゲージ理論の「閉じ込め」などの振舞を重力理論を使って説明できるという点で,これまでにはなかった特徴を持っている.この解説記事では,このAdS/CFT対応を用いた,ゲージ理論の重力理論による解析について説明する.
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