コウチュウ目ゲンゴロウ科のコガタノゲンゴロウ(Cybister tripunctatus lateralis)は,前胸部分泌腺から白濁した分泌液を出すことが知られている.これまで,ゲンゴロウ科の分泌液中には主にステロイド類が含まれることが報告されてきたが,揮発性成分の詳細は不明であった.本研究では,日本産のコガタノゲンゴロウを対象として,ヘッドスペースガスクロマトグラフ質量分析計(HS-GC-MS)を用い,分泌液中の揮発性硫黄化合物の分析を行った.その結果,これまで報告のなかったジメチルジスルフィド(DMDS)およびジメチルトリスルフィド(DMTS)を同定した.さらに,DMTSについてはゼブラフィッシュ(Danio rerio)を用いた96時間急性毒性試験を実施し,96h-LC50が1.24 mg/Lであることを明らかにした.
チョコレートコスモスの花は,チョコレートに似たにおいがあると知られているが,花のにおい成分に関する知見はほとんどない.チョコレートコスモスの栽培品種の1つ‘KIECH1’(商品名:チョカモカ)の開花状態の花に対し,ダイナミックヘッドスペースサンプリングによるにおい捕集とにおい嗅ぎGC分析から,この花のにおいに寄与する主要成分を,2-methoxy-3,5-dimethylpyrazine,eugenolおよびvanillinと推定し,GC/MSにより,それらの存在が確認された.
本研究では,嗅覚刺激によるデジタルゲームの体験が高齢者の認知機能に及ぼす影響を検討するために前後比較研究を行った.高齢者20名を対象として,嗅覚刺激を用いたデジタルゲームを1ヶ月間体験させ,介入前後に認知機能検査等を実施し,得点の変化を比較した.解析の結果,MoCA-J等の認知機能検査得点が事前から事後に有意に上昇した.これらの結果は,嗅覚デジタルゲームが高齢者の認知機能に影響する可能性を示している.
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