Zairyo-to-Kankyo
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
57 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
展望
解説
  • 境 昌宏, 世利 修美
    2008 年 57 巻 4 号 p. 172-179
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/20
    ジャーナル フリー
    我が国で「マウンドレス型孔食」と呼ばれる新しいタイプの銅管孔食が発見されてから約15年が経つ。この孔食は従来のI型やII型孔食と異なるいくつかのユニークな形態的特徴を持つ。第1に孔食入口を覆う腐食生成物のマウンドが存在しないことである。第2に孔食入口部周囲にガラス状の緑青が存在することである。第3に孔食の直径が1 mm以下と小さいにも関わらず深いことが挙げられる。著者らは,マウンドレス型孔食が頻繁に起こる地域でのフィールド試験により,この孔食を再現することに成功した。ラボ試験において,数種の薬品を溶解した人工淡水中でもマウンドレス型孔食は発生した。このときの人工淡水成分は,シリカ,硫酸,塩化物,重炭酸イオン濃度がそれぞれ40, 50, 10, 10 ppmであった。孔食部の表面分析結果によれば,孔食部入口は主にシリカからなる薄い膜で覆われていることが判明した。マウンドレス型孔食発生・進展メカニズムについて実験結果に基づいて考察する。
論文
  • 武邊 勝道, 大屋 誠, 安達 良, 安食 正太, 大田 隼也, 願永 留美子, 北川 直樹, 古川 貴士, 松崎 靖彦, 麻生 稔彦
    2008 年 57 巻 4 号 p. 188-193
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/20
    ジャーナル フリー
    島根県東部の塗装橋梁を対象に,橋梁桁内での付着イオンの挙動について調査した.付着イオンは冬期から春期にかけ多くなる傾向がある.このことは,この時期に季節風の影響が強まり,飛来塩分の供給量が増すことと整合的である.付着イオンの量は蓄積期間の長さに比例しておらず,飛来して来るイオンの蓄積のみではその付着量を説明できない.集中豪雨前に比べて,集中豪雨後には,桁内の Naと Clの付着量が減少することから,溶解度の高い NaCl が鋼板面に付着した露によって洗い流されていると考えられる.以上のことから,付着イオンの組成は,飛来して来るイオンの量だけでなく,露による洗い流しの効果も受けていると考えられる.
  • ―酸化物皮膜構造と塩化物イオン濃度の影響―
    坂入 正敏, 下山 由起也, 長澤 大介, 菊地 竜也, 高橋 英明
    2008 年 57 巻 4 号 p. 194-200
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/09/20
    ジャーナル フリー
    アルミニウム試料の異種金属接触腐食に及ぼす皮膜構造(緻密型と多孔質型)の影響をNaClを含む0.5 kmol/m3 H3BO3 / 0.05 kmol/m3 Na2B4O7溶液中で電気化学不規則信号(電気化学ノイズ)測定より調べた.孔食が起こると振動を伴いながら電位は急激に低下し,電流は急激に増加する.電位と電流の変化は良い相関を示す.どちらの皮膜もその厚さが厚くなるに従って,塩化物イオン濃度が低くなるに従って孔食誘導期間は長くなる.多孔質型皮膜形成試料の孔食誘導期間は,緻密型皮膜形成試料の孔食誘導期間に比べて長い.孔食誘導期間の逆数は塩化物イオン濃度のn乗に比例する.ここで,nは1.2から2.5である.
feedback
Top