ステンレス鋼のすきま腐食発生時間
tINCUにおよぼす電位と温度の影響を明らかにするために,試験直前に研磨したガラスすきま付き試験片を用いて460 ppm Cl
-環境中298 K, 323 Kおよび353 Kの温度で定電位試験を実施した.その結果,いずれの温度においても,卑な電位で電解するほど
tINCUは増大し,すきま腐食発生までに必要な電気量
QINCUは同一温度であれば電位に対してほぼ一定値となるが,温度が高くなると
QINCUは小さくなる傾向を示した.これは,溶出した金属イオンの加水分解反応速度が温度の上昇にともなって増加しH
+濃度が高くなり,結果的に少ない金属イオン量で脱不動態化pHに達するたかまたは,不動態皮膜の化学的溶解速度が増加するためのどちらか一方または両方と考えられる.また,
tINCUが電位依存性をもつ理由としては,すきま腐食発生に至るまでの平均的な金属の溶解電流密度
iINCUが貴な電位ほど増大することに起因している.いずれのステンレス鋼とも,温度の上昇とともに
tINCUおよび
QINCUは低下するが,
iINCUは逆に温度の上昇とともに増大した.これらのパラメータをArrheniusプロットし,各種ステンレス鋼の
tINCU,
iINCUおよび
QINCUに関する見かけの活性化エネルギーを求め,すきま腐食発生過程の反応を推定した.
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